人気ハッシュタグに見る余白と参加動員力
Twitter内で自発的に生まれた人気ハッシュタグ「#世界一いらない報告をする見た人もやる」をご存じだろうか。「今、◯時」「彼女できた」など、タグの通りどのような内容でも投稿でき、それが見た人の行動を誘発し、連鎖していく。企業の公式アカウントがこれに乗って、製品の細かな情報をつぶやいたりもした。
「このタグの特徴は、圧倒的な余白と参加動員力。情報がシンプルに“バズ”るのもリーチ効率は高いですが、関係線上で会話だけでなく行動が生まれたり、新しい線ができたりすることを設計段階から考慮すると、ソーシャルメディアならではのうねりがつくれると思います」(西山氏)
WHAT、WHO、WHENの視点から紐解く
最後のピント合わせは、どこから始めるか。西山氏は電通デジタルで踏襲している方法として、広くマスの中から顧客の群れを可視化するための「WHAT/WHO/WHEN」の3つの視点を解説する。
WHATの視点とは、ソーシャル上で何が語られているのかを分析することだ。ブランドやプロダクトについての投稿内容を時系列で定量的に把握したり、さらに定性的に興味関心や行動を把握したりもしているという。
WHOとは当然、顧客が誰なのかを捉えること。ブランドのファンの顧客像を、属性情報とソーシャル上の投稿を掛け合わせて浮かび上がらせることができる。セグメントごとのインサイトやフィーリングを捉えて深く考察することで、精緻なペルソナを描くことも可能だ。
WHENは、全体的な傾向とブランド特有の両方でシーズナル変化を捉えること。たとえば「働くモチベーション」の年間の上下変動も、ソーシャル上から読み解ける。
他にも、電通デジタルではソーシャルメディアならではのリアリティのある声から、たとえばコアユーザーからエントリー層など新たなセグメントを発掘し、顧客ファネルの新規構築にも取り組んでいるという。どこから始めるかという点では、以上の切り口に加えて、顧客理解を中心とした分析から効果測定まで一貫して支援する同社をパートナー企業とするのも手だろう。
「群れはそもそも、生物の生存戦略のひとつだそうです」と西山氏。「ソーシャルメディアは、生活者がこの変化の激しい時代に選択した生きる知恵とも言えそうです。その実態を丁寧に捉えることで、マーケティングに必要なヒントが発見できると思います」と語り、講演を締めくくった。