詳細マッチングを併用し、シグナルの質と量を上げる
続いて日下部氏は、収集するシグナルデータの質と量を上げることについて語った。シグナルとは、Instagramのフィードやストーリーズへの投稿表示順位や表示させる対象を最適化する機械学習のベースとなるデータポイントのことだ。
シグナルというとWebサイトに埋め込むピクセルやアプリにおけるSDKのみの話だと思われがちだが、それ以外にもシグナルを収集する方法はいくつもあるという。日下部氏が薦めるのは、「詳細マッチング」という機能を使用することだ。これは、既に保有しているメールアドレスなどの顧客データを使用し、その顧客とInstagram利用者とを高い精度で照合していくもの。これにより、シグナルの質や量を上げていくことができるのだ。
たとえばオルビスの事例では、詳細マッチングを導入することでCVRが1.4〜1.6倍ほど改善傾向にあったという。詳細マッチングには、「自動詳細マッチング」と「手動詳細マッチング」の2種類があり、オルビスの事例ではその両方を併用していた。
自動詳細マッチングでは、手動詳細マッチングに比べて捉えられるデータが限定的だ。たとえば、自動詳細マッチングは金融業界では使えないが、手動詳細マッチングは使える。データ形式についても、前者では規定フォーマットのみだが、後者ではカスタマイズが可能。たとえば日付を「20191029」と表記することもあれば、「2019-10-29」と表記する場合もある。こうしたフォーマットが広告主とFacebookで異なる場合、自動詳細マッチングだけではデータがマッチしないということが起こり得る。また、データ送信タイミングに関しては、手動詳細マッチングでは、利用者がフォームに入力した時に別の情報も自社のデータベースから出して促すことができるので、より確度の高いマッチングを行うことができるのだ。
自動詳細マッチングでFacebookにログインしていない利用者に対してもCV計測が可能となり、手動詳細マッチングでピクセル/SDKを改修することで、よりリッチなシグナルを補足できるため、可能な限り両方を併用することを推奨しているという。
エン・ジャパンはInstagram広告への投資金額を大幅にアップした
続いて、エン・ジャパンの田中奏真氏を迎え、クリエイティブ最適化についてパネルディスカッションが行われた。
日本の生産年齢人口は右肩下がりだが、転職者数は増加している。「では何もしなくても弊社に登録していただけるかというとそうではありません。他にも人材サービスはたくさんありますし、求職者が優位なマーケットなのでプロモーションの難易度は高い。特に若年層へのリーチは難しいので、若年層が多く利用するInstagramの重要性はとても高いです」と田中氏は話す。
実際に、エン・ジャパンのInstagram広告への投資金額は、前年比でフィード広告が131%、ストーリーズ広告が441%と大幅に伸びている。田中氏は、「投資金額に対するリターンも非常に大きい」とその実感を語った。