購入検討度合いをスコアリングしてクーポンを通知
まず、「顧客体験向上での活用」から見ていこう。
会員登録前のユーザーの場合、購入検討期間を1週間に定め、その期間内で行った行動を点数付けしていく。一定以上のスコアに到達したユーザーに対しては、KARTEを使って会員登録時に発行するクーポンを通知し、購入を促す。会員登録して購入が完了すると、これもKARTEで会員のマイページにクーポンを提示する仕組みだ。
また、メルマガやLINE、アプリ、Webサイトすべてのチャネルにおいてポップアップ機能や埋め込み機能を活用し、人気アイテムのランキングやユーザーに最適なレコメンドを行うことで、購買を促している。
アパレルECの最大の課題といわれるサイズ問題もKARTEを使って対処している。ユーザーごとに、過去に購入した商品のサイズを表示して、購入しようとしている服の着心地を比較する機能を設けることで、「サイズが合わなかったらどうしよう」というユーザーの不安を払拭した。
さらに、在庫数の減少や値下げ、販売開始、再入荷といった情報をKARTEの「変動通知機能」を使ってユーザーに通知。田中氏によると、変動通知メールの開封率は、通常のメルマガと比べて開封率が約2.5倍という効果が出ているという。
「社内業務での活用」についてはどうか。ブランド担当者自身はKARTEの管理画面を使わず、Google データポータルにKARTEのデータを集約し、ユーザーやブランドごとに売れ筋や予約商品購入数をビジュアライズして確認できるようにしている。これにより、商品の仕入れや企画、在庫の配分やプロモーションなど社内業務に活用しているそうだ。
KARTEがオンライン/オフライン融合のハブになる
今後の取り組みの一つが、ユーザーに購入した商品のコーディネート例を送信するサービスだ。
「現在はECで購入した翌日にコーディネート例を通知しているのですが、今後は店舗で購入した顧客に対しても、コーディネート通知を行う予定です。特徴は、当日接客を担当したスタッフから通知を届けるという点で、これによりオンラインとオフラインを融合し、店舗をきっかけにデジタルに誘導しつつ、『またあのスタッフに会いたい』ということで店舗に戻るというサイクルが確立できます」と田中氏は期待をにじませる。
また、現在進めているのは、店舗スタッフがKARTEを使ってメッセージを届けられるようにする仕組みの実装だ。「これまでは店舗スタッフがメッセージを届ける場合、DMしか手段がありませんでした。しかしKARTEを経由してメッセージを届けるようにすれば、DMだけでなく、自社アプリを通じてリアルタイムに温かいコミュニケーションを交わすことができるので、新たな顧客体験を実現できます」と田中氏はいう。
もちろん、メッセージを通知するチャネルやタイミングもKARTEで最適化する。ユーザーがメッセージを開封する時間帯を分析し、最もアクティブな時間帯を狙って通知することで、より快適なコミュニケーションを実現する狙いだ。
以上のように、KARTEはデジタルプラットフォームだが、使う「人」を通じ、店舗も含めたオムニチャネルでの体験、購買サイクルを改善することができる。
田中氏は最後に、パルの事例を元にオムニチャネルでの顧客体験向上を進めるための3つのポイントを紹介した。
- 顧客エンゲージメントでフェーズを分け、そのフェーズ内の施策を顧客視点で考えること
- オフライン、オンラインの体験をシームレスなものとし、顧客とのつながりを創り出すこと
- 企業全体、場合によっては業界全体をあげて顧客体験向上に取り組むこと
これらに取り組む企業こそ今後伸びていく企業・業界だとし、プレイドとしても成長をアシストしていきたいと述べ講演を締めくくった。