SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』デジタルクリエイティブの作法

クリエイティブに必要なのは、科学と覚悟

答えではなく問いから考える

――各プラットフォームを研究し、フレームワークを考えていたとのことですが、具体的な一例を紹介いただけますか。

 たとえば、Facebookで動画広告が出始めた頃は、起承転結がはっきりした動画が非常に人気でした。そのため、起承転結のあるバラエティコンテンツ風の動画を広告に応用するためのフレームワークを考えました。

 その他にもYouTubeの動画広告だと開始から数秒でスキップされぬよう、冒頭に印象に残るサウンドでアテンションを取って無視しづらくする、など考えていました。

 これらの知見をフレームワークとして体系化することで、会社全体のパフォーマンスはもちろん、ネット広告の健全性やパフォーマンスの向上にもつながると考えていました。

――「感覚的なアウトプットを言語化して評価できるようにする仕組みを作る」ことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

 クリエイティブを、答えではなくて問いから考えられるのが大きなメリットだと思っています。求められる目的やパフォーマンスを達成するために、何をどのように工夫してクリエイティブを作るのかの指針がなければ、パフォーマンスが期待できないばかりか、その要因を分析するのも難しくなってしまいます。

 そのためのフレームワークや方法論を言語化することは、必要なアウトプット(答え)のための「問い」になるので、そこから作られるクリエイティブは再現性も高くなりますし、仮説を基に作られているからこそ配信パフォーマンスの要因分析も行いやすく、新たな問いも立てやすくなるメリットがあります。

個人のネーミング活動がきっかけで新会社設立

――現在はサインコサインで、ブランドアイデンティティ(ネーミングや企業理念、コンセプト)の開発をクライアントと共創で行っているとのことですが、セプテーニ時代とはかなり違うお仕事ですよね。サインコサインの設立に至ったきっかけはなんだったのでしょうか。

 きっかけは、5年ほど前から個人的に始めたネーミング活動ですね。タイムチケットという、購入者に自身の時間をシェアするサービス上で始めたもので、普段のデジタルクリエイティブを考えるときとは違う思考力を鍛えるのが目的でした。

 始めてみると、購入者の方から非常に好評で、最終的にはタイムチケットでの購入数が1位になりました。そして、メディアからの引き合いもあり、個人での露出が増えていき、これまでセプテーニでお取り引きのなかった企業からネーミングに関する依頼が来るなど本業にも効果が出てきました。

――それだけ個人で引き合いがあると、起業や独立といった選択肢も見えてくるのかと思ったのですが、いかがですか。

 ちょうどネーミング活動をしていた2014年から2015年までにかけて、起業ブームが起きていたんですが、私はいきなり起業するといった度胸はありませんでした(笑)。でも現在のパラレルワーカーや複業の走りではないですが、サラリーマンとして軸足を置きながら、パラレルで個人の活動をするみたいな働き方はいずれフィーチャーされると確信していました。

 そのため、そういった時代が来たときに先人となることを目指して活動している中で、結果的に生まれたのが、サインコサインでした。

全員クリエイターが重要に

――それは、デジタル広告のクリエイティブ制作から、ネーミングの仕事がメインになってきたからグループ会社として立ち上げたのですか。

 メインになってきたというよりは、ネーミング活動の中で気づけたことを本業に還元したいと思うようになったのが大きいですね。先ほど、クリエイティブを研究しフレームワーク化してきたとお伝えしましたが、それをネーミングでも応用できないかとずっと考えていました。

 そしてあるとき、良いネーミングが出てきたときと、そうでないネーミングが出てきたときの違いがわかったんです。それは、私が一方的に考えて案を出すのではなく、一緒に正しい役割分担で考えていけたときのほうが良いネーミングが生まれるということです。

――なるほど。それで、ブランドアイデンティティの共創というビジネスに行きついたんですね。

 そうですね。自分だけでクリエーションするよりは、クライアントとの共創をファシリテートしていくことでアウトプットへの覚悟を醸成することが大事なのだと思うようになりました。一般的に、クリエイティブを作る際はクライアントからオリエンテーションを受けて我々が提案するという受発注の関係になりがちですが、全員がクリエイターという意識でクリエイティブに責任を持つことが重要だと思うのです。

 そこで、デジタル広告に限らず、様々なアウトプットを「共創する」ことをビジネスにしてみたくなり、セプテーニグループ内の新規事業コンテストに応募し、新会社の設立に至りました。

次のページ
最高のクリエイティブはパートナーシップがあってこそ生まれる

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
定期誌『MarkeZine』デジタルクリエイティブの作法連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2020/04/24 14:30 https://markezine.jp/article/detail/33245

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング