YouTubeとテレビでタレントのイメージは異なる
前回は「なぜ増える?タレントのYouTubeチャンネル エンタメ業界で始まるDXの裏側」と題し、エンターテインメント市場・デジタルコンテンツ市場の両面からタレントビジネスの動向を解説しました。
今回は、タレント・アーティストのYouTubeチャンネル運用の裏側、そして広告主にとってのタレントYouTubeチャンネルの活用術を現場目線でお話しします。また、人気タレントのYouTubeチャンネルのコンセプトをマッピングしたので、ぜひそちらもご覧ください。
まず、タレント・アーティストのYouTubeチャンネルの現状を見ていきましょう。タレント・アーティストのYouTubeチャンネル数は、2018年から2019年にかけて2.5倍までに増加(自社調べ)。2020年はコロナ禍の影響もあり、その動きがさらに活発になっています。
タレント・アーティストがYouTubeに進出する背景は大きく2つです。1つがテレビでは難しくなった芸風を発揮したり、露出の機会を増やしたりしたいケース。もう1つが、純粋に新たなプラットフォームでチャレンジがしたいケースです。
つまり、従来のYouTuberがYouTubeを起点として知名度を高めているのに対し、タレント・アーティストのYouTube活用は、マスメディアでファンを獲得した上での、TwitterやInstagramと同様の“新しい表現の場”として使われる傾向があるのです。
タレント・アーティストのYouTube市場はまだ発展途上です。テレビとは視聴者層が異なる部分もあり、本人たちも手探りでコンテンツを制作しています。そのため、広告主はテレビ出演時のイメージをもとに仕事を依頼するのではなく、各タレント・アーティストが定めたチャンネルコンセプトを把握した上で依頼先を選ぶ必要があります。
タレント別、YouTubeチャンネルコンセプトマップ
参考までに、人気タレントYouTubeチャンネルコンセプトの傾向を独自に分類しました。
延長線上
マスメディアでコアファンを獲得し自身のブランドが確立しているタレント・アーティストは、世間に浸透しているキャラクターや得意領域をYouTubeにも活かしています。既存ファンをそのままYouTubeに連れてこられるのが強みです。
チャレンジ1→10:持ち味特化型
従来のキャラクターを活かしつつ、テレビとは異なる企画に挑戦するパターンです。たとえば、“高学歴芸人”として知られる中田敦彦さんは、歴史や経済、時事ネタなどを巧みな話術で解説する「教育系YouTuber」としてポジションを確立しています。
チャレンジ1→10:プライベート発信型
テレビでは見せない“素の一面”を見せていくパターンです。川口春奈さん、佐藤健さんなど、女優・俳優のYouTubeチャンネルに多く見られます。
チャレンジ0→1:キャラ生成型
既存のイメージから脱却して、まったく新しいキャラクターや企画に挑戦するパターン。芸人の秋山竜次さん、塚地武雅さんなどが当てはまります。
このように、自身の新たな一面を表現するケースや、従来の活動の裏側などをコンテンツ化するケースなどパターンは様々です。広告主の目線になると、商材やそのブランドイメージにフィットした広告コンテンツを制作するために、チャンネルコンセプトの見極めが非常に重要なのです。