自治体や地元の生産者と協力し、生産者支援を強化
続いて、生産者向けのマーケティングは、ダブルファネルで設計。食べチョクでの生産者登録までと、食べチョクの活用による継続的な販売、ファン化、拡散の流れを描くが、2020年は、コロナ禍を受け、一気に登録が増えた生産者の支援にも注力。2020年12月には新型コロナウイルスをはじめ、自然災害や盗難などで困っている生産者をサポートする「生産者非常事態サポート室」を常設した。
生産者支援は、食べチョクが関わるだけでなく、同じ地域で働く生産者同士のサポートを重視している。身近な人がサポートすることにより、サービス活用のハードルが下がるだけではなく、継続的な出品にもつながるのだ。「スマホの使い方がわからないなどの障壁を取り払った支援を考えている」と松浦氏。

これを強く反映した共同出荷の仕組みでは、ITに馴染みがない生産者を地元の食べチョク登録者がサポートする他、いくつかの生産者が集まって出品する、ご近所出品も実現した。また2020年9月には、佐賀県と自治体連携をスタート。食べチョクに登録した佐賀県の生産者を対象に、全体研修や電話、Facebookグループなどで出品・運用支援をする他、購入促進のクーポンを発行。食べチョクのWebサイト内には、佐賀県の生産者を紹介する特設ページも開設した。
さらに支援は、出品・運用だけに留まらない。生産者の学び合いの場として、ナレッジを共有する食べチョク学校を開催。食べチョクでの販売や運用にフォーカスした、ノウハウ編・勉強会編の他、異業界の著名人によるセッションが聞ける放課後編を、オンラインコンテンツで提供している。多いときは100名を超える生産者が一度に集まるという。
人の営みの中に、食べチョクがある世界を作る
最後に松浦氏は、今後の食べチョクの展望を紹介。生産者の高齢化問題を挙げ、「誰でも使いやすいシステムやサービスの開発を目指し、シンプルで良いサービスに磨き上げることが最優先」と語った。日々の仕事の頑張りが、しっかりとビジネスに反映され、生活者とのつながりも生まれる。そんなサイクルを食べチョクで作り、生産者のネットワークや会話、SNSコミュニケーションの中に、自然と食べチョクの話題が生まれることが理想だ。そして、生活者にも「食べチョクがより身近にある状態を作りたい」という。
食べチョクにとって2020年は、サービスの認知が拡大し、大きな変化が起きた年であることは確かだが、あくまで通過点。松浦氏は、「こだわってお仕事をされている生産者の方が、しっかりと報われて、ビジネスを継続できる世界を作っていきたい。ぜひ、これからも食べチョクを応援いただけると嬉しいです」とまとめ、ウェビナーを締めくくった。