2000年代後半から普及したPodcast、ネットでラジオが聴けるradiko、さらに2016年にVoicyが立ち上がり、直近ではClubhouseと、私たち生活者の周りにネット経由の音声メディアが着実に広がりつつある。今回は2021年2月に5周年を迎えたVoicyに、企業の活用状況だけでなく、マーケティングプラットフォームとしての可能性にもフォーカスして取材した。個人がパーソナリティとなって利用する以外に、新聞社などのメディア企業が音声ニュースメディアとして利用したり、また企業がオウンドメディアや社内報に取り入れるなど、新しい活用が根付きつつある。
※本記事は、2021年4月25日刊行の定期誌『MarkeZine』64号に掲載したものです。
市場が急拡大する音声メディア

株式会社Voicy 代表取締役CEO 緒方憲太郎(おがた・けんたろう)氏
大阪大学基礎工学部卒業後、大阪大学経済学部卒業。同年公認会計士合格。2006年に新日本監査法人へ入社。その後Ernst&Young NewYork、トーマツベンチャーサポートにてスタートアップから大企業まで経営者のブレインとなるビジネスデザイナーとして支援。途中1年間かけて地球一周放浪しながら、アメリカで医療系NPOの立ち上げやオーケストラ公演のディレクターも行う。2015年医療ゲノム検査事業のテーラーメッドを創業、3年後業界最大手上場企業に事業売却。2016年にVoicy創業。社会と生活を変えて、新しいワクワクする価値を生む事業が好き。
——ボイスメディア「Voicy」では多くのパーソナリティが自身の番組を持ち、ユーザーも相当数に拡大していると思います。まず代表の緒方さんから、5周年を迎えられた今の規模感を教えていただけますか?
ユーザー数は5年の間に着実に伸長し、現在は月間100万以上になっています。パーソナリティとして自分のボイスメディアを持ちたいと希望する人も増えており、たとえば2020年12月は応募者1,000人だったのに対し、翌1月には1,300人と30%増加していました。有料のプレミアム放送の仕組みもあるので、マネタイズできている方もたくさんいます。さらに企業の活用も推進しており、2021年2月時点で企業放送やスポンサー希望などの問い合わせも月間30社以上いただいている状況です。
——これまでに、サービスが拡大したタイミングはあったのでしょうか?
サービスを開始してしばらくは、「声のニュースメディア」と称していました。複数の人の声でニュースを読み上げてもらうために、ニュース媒体と提携して記事提供を依頼したりしていたんです。ただ、それがほぼ伸びず、むしろニュースよりも好き勝手にしゃべっている人の番組を聴く方がおもしろいぞ、とリスナーがついていきました。
そこで、Voicyは「声のブログ」です、と言い換えたんですね。するとブロガーや著名人の方々が参加し始めて、その方々のフォロワーがリスナーになったことで、ユーザーが一気に伸びた経緯があります。

——日本では1月下旬から、Clubhouseが一気に流行しました。緒方さんも様々なRoomでお話しされていますが、率直にこの流れをどうご覧になっていますか?
誰もがあれだけ簡単に、直感的に使える音声サービスが登場したことには、正直に言って悔しい気持ちもありました。ただ、使えば使うほど、Clubhouseが流行ることはVoicyにとって追い風だと思うようになっています。
Clubhouseはあくまで、会話が流れていってしまうフローのSNSなので、音声コンテンツとは言い難い。むしろClubhouseが一切アーカイブ化されないからこそ、Voicyのアーカイブ性、音声コンテンツとしての価値が際立つ部分もあります。
Clubhouseをきっかけに音声メディアに興味を持ち、Voicyに声という形で自分の考えを残したいと思ってくれる方もいるようで、相乗効果があると思っています。
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高島 知子(タカシマ トモコ)
フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。
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