好きなコト・趣味もコミュニケーション型で楽しむ
前提として、若年層が「自分のハマっている趣味・好きなこと」にお金や時間を費やす時のスタイルは多様化しています。YNGpot.では前述の調査を経て、デジタルネイティブ世代が持っている熱中消費モードを6つに分類しました。
その中でも、ミレニアル世代と比較してZ世代の含有が特に高いクラスタは「お布施モード」「同士探索モード」「自己表現モード」の3つでした(図表2)。

上記3つのクラスタ特徴を見ると、他者への応援やコミュニケーションが消費インサイトの中心にあることが見て取れます。実際、Z世代全体で見ても、「SNSで最新の情報を仕入れたい」「知った情報を多くの人に知ってほしい」「趣味の対象や業界自体も応援したい」といった傾向が大きくなっています。
こうした傾向が見られるのは、前述のようにZ世代が孤独を感じアナログ/デジタル問わずコミュニケーションを求める傾向が増加したことによる影響が考えられます。彼らがコロナ収束後に一番楽しみたいのは「ライブ・イベント」となっており、応援系の趣味の中でも、リアルな空気感・臨場感の中で楽しみ、趣味の仲間(一緒に応援する人)とのコミュニケーションをとっていきたいという意欲がみてとれます。
さらに「同士探索モード」「自己表現モード」の性格からは、情報を仕入れるだけではなく、それを外部にシェアしたい欲求がみてとれ、Z世代自らがトライブリーダーになる可能性を秘めていることも示唆しています。
トレンド形成の重要ファクターを押さえよう
ここまで、コミュニケーションを重視するZ世代の特徴として、(1)他者とのつながりをリアルな場所で求めている傾向が強く、コロナ禍で他者との連絡においてデジタル化を強めるものの、アナログ回帰を希望していること、(2)デジタル上においても距離が近くリアルな質感を持つトライブリーダーによる<1→n>型の情報発信を好むこと、そして、(3)他者への応援やコミュニケーションが消費インサイトの中心にあることをお伝えしました。

上記のような状況を踏まえると、企業からZ世代に伝えたい情報がある時、それをマスメディア経由の広告で広く伝えるやり口一本では通用しなくなる時代が、もう来ているのかもしれません。コミュニケーションを重要視するZ世代のインサイトに寄り添い、同じ目線でより深く情報を浸透させていく方法を模索すべきであると考えます。従来の広告のように、企業が指定したフォーマットや言葉で情報を押し付けるのではなく、
- ・企業が伝えたい情報を「自ら発信したい」と思ってくれるトライブリーダーを探す
- ・Z世代の感性・言語に寄り添ったリアルな質感で届ける
といった要素をうまく取り入れ、Z世代に「これいいね!」と思ってもらうことができれば、高い効果が期待されるでしょう。そして、このようなアプローチが有効なのはZ世代向けの商品、サービスだけではありません。彼らに支持されたものはシェアされる可能性が非常に高まり、費用をつぎ込んだ広告よりもより広く、より遠くまで届く可能性があります。企業はZ世代のオピニオンリーダーとしての側面も、念頭に置いておく必要があるでしょう。
※1「コロナ禍におけるデジタルネイティブ世代の消費・価値観調査」
<調査概要>
調査時期:2020年7月16日〜7月19日
調査対象者:1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)在住の15〜34歳(調査時)男女
※緊急事態宣言下に「外出頻度がコロナ禍前と変わらず外出を自粛しなかった層」は除外算出
サンプル数:700サンプル(デジタルネイティブ世代の15〜34歳男女)
比較サンプル数:200サンプル(大人世代の35〜59歳男女)
※デジタルネイティブ世代との比較を行うべく回収を実施
調査手法:インターネット調査調査機関:株式会社電通デジタル/株式会社電通マクロミルインサイト