ユーザーの興味・関心や属性ごとの違いを精緻に把握
稲葉氏は、story bankを使って実際に行った分析の内容を紹介。一つのキーワードを軸に、類似したワードで検索した人のグルーピングが可能な「クラスタ分析」機能を活用したという。
「この機能により、グループごとの属性がわかります。どのような生活者がいて、各ターゲットにどんな施策を展開すればよいのか、戦略と戦術を両軸で考察できる点が素晴らしいと思いました」(稲葉氏)
また花王ではDockpitを活用し、キーワードの検索ボリュームと検索者の属性を確認したという。具体的には「歯磨き粉」というキーワードを分析した結果「歯磨き粉の機能によって、検索者数の多い年代が異なっていることがわかった」と稲葉氏。伊東氏が実際のデータを使って詳しく解説する。
「『検索ユーザー数推移』のうち『ホワイトニング歯磨き粉』を示す青い線が最も高くボリュームゾーンと言えますが、最近は少し落ち着きつつあることが見てとれます。また『検索者年代』を見ると、若年層がホワイトニングや研磨剤に関心を持つ一方、年代が上がるにつれてフッ素や歯周病への興味・関心が高まっています。こうした結果から、世代ならではの悩みなどがわかるわけです」(伊東氏)
ユーザーの興味・関心が高い項目や属性ごとの違いを、高い解像度で把握できる点にDockpitの特徴がある。花王ではDockpitを通じて得られた分析結果を基に、生活者それぞれのニーズに合わせた商品開発や施策を検討しているとのことだ。
「メンズメイク」検索後の流入サイトからわかる男女の違い
花王ではほかにもDockpitの「検索トレンド機能」を活用し「メンズメイク」のトレンドの実態を把握。メンズメイクに関連したワード検索が顕著に増加したタイミングに注目し「どんな要因で伸びているのかを調べた」と稲葉氏は語る。
伊東氏は「過去に遡って時系列変化を追えるのがヴァリューズのデータの強み」と述べた上で、花王のDockpit活用方法に対し「データの強みを活かした理想的な使い方」と評価する。
Dockpitの特徴は、検索後の流入サイトが把握できる点にもある。花王では「流入ページ分析」機能を活用し「メンズメイク」と検索した後の動きに見られる男女間の違いも捉えた。
分析の結果、男性の多くは「メンズメイク」と検索した後に「初心者向けのバレないベースメイク術」などのサイトへ流入していた一方、女性の多くは「僕がメイクを始めた理由」などのサイトに流入していたという。
「男性が当事者として検索しているのに対し、女性は『なぜ男性がメイクをしているのか』という情報に関心を寄せていることがわかりました」(稲葉氏)