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日本郵便「デジタル×アナログ」実証実験プロジェクト(AD)

共感を呼ぶDMでLTVが4割増 森永乳業とDM0に聞く「引き算のクリエイティブ」

新規獲得は順調、課題は継続率の向上

MZ:今回のDM企画はどのように生まれたのでしょうか。抱えていた課題感を含め、施策の背景をお教えください。

北村:当社では、EC事業部が2020年1月に発足し、新規の顧客獲得はかなり順調に改善できておりました。しかし、獲得が増えるほど継続率が課題として上がってきており、その改善を図りたいという思いが背景にありました。

 「森永ビヒダス 大腸のキホン」は、サプリメントという特性上、3ヵ月程度の長期間、毎日の継続使用をおすすめしている商品です。

 そういった点でも3ヵ月分が手元にあり、効果を感じにくい時期も飲み続けていただくことで、最終的に効果を感じていただけ、継続率向上に寄与すると考えました。また、配送頻度を減らすことで、物流費や梱包費などの配送費などを改善して、採算性を上げたいという考えもありました。

山本:私たちで「効果を実感するタイミング」についてアンケート(大腸のキホン 定期継続者へのアンケート/N=347人)をとりました。結果、1ヵ月未満では55%の方しか実感がないところ、3ヵ月から4か月未満で95%以上の方から実感があったという回答が得られました。継続率をあげる上では、今回の“3ヵ月”おまとめというのは重要なポイントでした。また、今回のDM施策でSDGs消費をコンセプトに据えたのは、森永乳業さんの中で既に取り組まれ、社会貢献への強い課題感が社内にあったことが大きかったですね。

田村:正直、おまとめ施策の中でエコを押し出すこと自体は、オーソドックスな流れではあります。それがここまで響いたのは、森永乳業さんが本気で取り組んでいる企業メッセージと今回のDM施策のコンセプトに一貫性があり、お客様の方でも共感する部分があったからこそだと思います。

田村:また、そもそもなぜ継続率が伸び悩んでいたかでいうと、新規獲得する際に「7日分ではなく、1ヵ月分でお試ししてみませんか」というご案内をしていたことで、軽い感覚の購入者を増やした点があります。というのも、試しに1ヵ月だけ使用して、効果を実感する前に購入をやめてしまう方が多数いらっしゃったためです。

 既存のおまとめのお客様は継続率が高かったため、まとめ率を上げることで継続率が上がることはわかっていました。しかし、商品が届いた後もおまとめの案内をオンライン上で行うとくどくなってしまうため、手を打てずにいました。

 そんな中で、DMであればお客様にダイレクトに届く一種の「確実性」をもった手段で、丁寧にメッセージを伝えることが問題解決につながるのではないかと考えました。

DMの反応率が驚異の7割、引き算を意識したクリエイティブ 

MZ:今回のDMのクリエイティブや設計の部分で工夫した点やポイントについて教えてください。

山本:おまとめ移行のDM施策で重要なことは2つあると思っています。1つ目は、手元に届いて見ていただくこと。次に、DMを見た後アクションを起こしていただくことです。

 1つ目の「見ていただく」という部分は、DM施策すべてにいえる最初の関門だと思います。一番見てもらえる外装ってなんだろうと考えた時に、官庁公的機関からの案内への回答率は高いらしいという話が発想の起点になり、デザインのヒントを得ました。

 実際、請求書や官公庁から届く通達などは、絶対見ないと駄目だ、と感じる方が多いのではないでしょうか。白封筒に企業ロゴと最低限の内容だけを記載し、あえてフォーマルな印象にすることで、開封率アップを狙いました。

実際に使用した封筒のデザイン
【クリックすると拡大します】
実際に使用した封筒のデザイン

山本:2つ目の「アクションしていただく」部分は、同封した「レター」「ご案内リーフ」「返信用はがき」の3点のクリエイティブを使って促しました。特に「はがき」については、シンプルなつくりで申し込みアクションを起こしやすくしています。

 はがきによる回答の設計では結婚式の招待状から着想を得て、おまとめ配送をしますか/しませんかという2択にし、何かしらのアクションをとってもらえるようにしました。DMを受け取ったすべての人に開封していただき、半数以上の方からアクションしていただけることを目標にしていました。

実際に使用した返送用はがきのデザイン
【クリックすると拡大します】
実際に使用した返信用はがきのデザイン

田村:クリエイティブでは、とにかく「伝える要素を引き算すること」を意識していました。どうしても開けて欲しいという思いが強すぎると引かれてしまいますし、情報量が多いと一番伝えたいことが伝わらないことになりかねません。極力無駄を落とした文章で、セールス色が出すぎない、かつSDGsに取り組む企業ビジョンが背景として明確に伝わるよう作成しています。さらに、ALL再生紙でSDGsを体現している一貫性も意識しました。

山本:また設計の面では、チャネルをミックスして使っていただいたのが一番のポイントです。はがき、QR、FAX、電話、Eメールと、オンライン/オフライン問わず、すべてのチャネルを全網羅的に用意しました。アナログなDMという手段から、デジタルを連動させ、DM到着5日目と最終日にステップメールを2通送付しました。このようになるべく手間が要らない手段を複数提供し、アクションを起こしやすくしました。

MZ:実際、どのような反響や成果が表れていますか。

山本:DMの反応率は、一般的には10~15%がデフォルトという中で、約70%(内承諾率85%)と、非常に高い反応を得られました。応答率としては、はがきが38%(全体の54%)、QRとメール経由が27%(全体の38%)となっており、デジタル連動もうまく機能したと感じています。

北村:期待していた配送費は顧客一人あたり3分の1まで減少しました。さらにDM前後で継続率は24%アップしており、数字としても明らかな効果が出ています。

 また、お客様の年間あたりの平均購入金額で見たLTVは、DM前後で約4割改善する結果になりました。さらに、「ダンボールが無駄だと感じていた」など、個別にお手紙やメール、SNSなどでエコの切り口に対してのお声も多数あり、当社のSDGsに対する思いも一緒に受け入れていただけたと実感しています。

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クリエイティブ1つで大きく変わる 顧客からの共感を得るDM

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この記事の著者

釘﨑 彩子(クギサキ アヤコ)

 2019年からマーケティング・広告の専門出版社で編集者として勤務。広報・PR分野を中心に編集業務にあたる。2022年よりフリーランスのライターに。媒体問わず、マーケティング、広報、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/03/30 11:00 https://markezine.jp/article/detail/41565

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