新規顧客に対して「既納客」に近いアプローチが可能
これらのデータベースを活用した同社のソリューションは、「分析ソリューション」と「メディアソリューション」の2通りある。分析ソリューションとして、荒木氏は「既納/未納客によるペルソナ分析」と「車型/車種によるペルソナ分析」を紹介する。
「自動車メーカーの場合、基本的にはディーラーが保有する『既納客』へのアプローチがメインになります。そこで、課題になるのは他ブランドの車に乗る『未納客(新規見込み顧客)』に対してどうアプローチするかです」(荒木氏)
ABTマーケティングが保有するデータベースを活用することで、未納客に対しても既納客に近いイメージでアプローチすることが可能になるという。「既納/未納客によるペルソナ分析」では、たとえば「人となり」「現在車両」「過去車両」の3項目でターゲティングするとともに、データの掛け合わせでより対象を拡張することができる。
荒木氏は、これらのセグメントに対して、ファミリー層なら同居する子どもの年齢や人数、ライフスタイルなら食生活や喫煙の有無、貯蓄額などを加えることで独自のカテゴリー分析ができると説明する。
「たとえば、顧客DNAを『ファミリー』『丁寧な生活』『マイルドヤンキー』としてそれぞれを座標軸にとり、そこに全車種をマッピングしてみます。これにより、自分たちが狙いたい顧客像に対して車種によるアプローチが可能になります」(荒木氏)
もう1つの分析ソリューションである「車型/車種によるペルソナ分析」について、荒木氏はトヨタの「VOXY」と「アルファード」を例に挙げる。どちらも大型の車だが、分析していくとユーザー属性に違いが見られるという。
「データを通して年齢層や男女比、年代構成比などの特徴を掴むことができます。訴求したい車種のターゲット像を知りたい時も、我々のデータを有効に活用していただくことができるはずです」(荒木氏)
事前分析から購買後の検証をカバーする「循環型マーケティング」
「メディアソリューション」はその名の通り、ABTマーケティングが持っているデータを活用することで、デジタルメディアを用いて販促を実施する取り組みだ。荒木氏はデジタルメディアの優位性を次のように説明する。
「オートバックス会員および、T会員の大規模データを活用することで、今までのYahoo!広告やGoogle広告ではできないOMO施策が可能となります。また、事前ペルソナ分析から配信後の購買までを検証できる『循環型マーケティング』を実現可能にしました」(荒木氏)
現在、Yahoo! JAPAN、Googleのプラットフォームと同社の利用者データを連携して広告配信を行っている。Yahoo! JAPANならYDA(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)で3,500万人規模での配信が可能。GoogleならYouTubeで1,000万人規模の配信が可能だという。