車検データを活用して新車訴求、CPC約2倍を実現!
これらのデータとソリューションを活用し、具体的にどのような成果が出ているのだろうか? 荒木氏は自動車データターゲティングを実施した事例を紹介する。
車検データ、車両データ、カー用品購買履歴などの車両情報をセグメント化することで、自動車メーカーや自動車ディーラーといった広告主が直接ユーザーへアプローチできるようになっているという。
ある自動車メーカーは、新車訴求の施策を実施。車検まで1年以内の車両保有者を対象セグメントに設定し広告を配信した。結果、他社で行った施策でのCPCと比べ約1.2倍の効果が出たという。見込み顧客の発掘も含め、対象ユーザーにしっかりと新車の訴求を行えた例だ。車検のデータは「自動車メーカーでも活用が進んでいない領域」だと荒木氏。車検満了月を1ヵ月単位で補足し、乗り換えの時期から鑑みたアプローチをすることが可能だという。
また、カー用品メーカーで行った「車用Wifiルーター」の販売促進施策では、カーエレクトロニクスの購入履歴がある人を対象に広告を配信。結果、CPCは約2倍の成果が出て、リピート受注にもつながった。
リテールメディア「AUTOBACS Ads」とは?
続いて荒木氏は同社の「AUTOBACS Ads」モデルの構想を紹介する。ABTマーケティングのデータを活用した広告配信による「店外訴求」、広告効果を来店ベースで可視化する「来店計測」、サイネージなど店舗内のメディアと連動したアプローチを通した「店内訴求」、そして、購買分析による「効果測定」によって、デジタル広告とリアル購買の連動を実現し、確実な売上効果の検証を行うことを目指すモデルだ。
たとえば、オートバックスに商材を卸すカーライフ系企業が、ABTマーケティングのデータを活用してセグメントされた対象者へ広告を配信。広告配信を見たターゲットがオートバックスの店舗に送客され、サイネージや棚周りなどの店舗内メディアに接触。彼らの購買履歴がオートバックスからCCCMKへ蓄積される。そのデータと広告接触したセグメントのデータを掛け合わせ、ふたたび広告配信セグメントとして抽出する。
つまり、IDに広告接触データを付加することでCCCMK内の購買データと連携し、広告接触の有無によるリアル購買検証が可能になるわけだ。さらに、来店率や購買率などの事前シミュレーションを行うとともに、セグメントごとに広告の表示回数から来店数、購買金額まで一気通貫したレポートを提供する予定だ。
最後に荒木氏はリテールメディアに対する同社の姿勢を語り、講演を終えた。
「リテールが保有するファーストパーティデータの活用はこれまで難しいとされていました。しかし、海外ではリテールメディアがデジタル広告業界で席巻しつつあります。おそらく日本でもこの流れが加速度的にやって来ると考えています。そして、我々は先んじて取り組みを進めていきます」(荒木氏)