新たな存在価値がもたらした来客数・前年比138%
「保険商品を選びに行く所」から「保険を勉強しに行く所」というブランディングの方針転換。その効果は如実に表れた。2022年9月には前年比138%の来客数を記録。
中島氏によるとこの数字は予想をはるかに超えたものであり、アン ミカ氏を起用した広告が展開してから数日の内に、来店予約件数は急激に増加したという。中島氏は「本当に“買い物ついでに”いらっしゃるお客様が多く、一部の店舗では対応できるかどうかといった状態だった」と説明する。
今回のリブランディングが成功した要因について鹿毛氏は、「ほけんの窓口に携わる店舗スタッフや(マーケティング施策を担った)WebチームやテレビCMチーム、そして彼らをサポートした役員や社長、皆が同じ方向に向かって変革を推進したこと」だとし、以下のように指摘する。
「『企業は世の中に喜んでもらうために存在する』というのが私の考えです。これまで『ほけんの窓口』は、複数ある選択肢の中からお客様に最適な商品を提案することで(顧客に)喜んでもらっていました。これは一つの存在価値です。そして今回、新たに『保険を勉強しに行く所』であるとブランディングし、その存在価値を打ち出しました。今回展開した広告やのぼりだけでなく、店舗での接客も、そのブランドの確立に向けて推進させた要素です」(鹿毛氏)
すべてのタッチポイントで同じメッセージを伝える
さらに鹿毛氏は商品・サービスを提供する側と顧客側のタッチポイントに対する意識の違いを指摘する。サービスを提供する側は、「予約」や「申込み」「契約」といったピンポイントのタイミングでタッチポイントを捉えがちだ。しかし、顧客にとってはテレビ広告や店頭ののぼり、予約時の電話対応や窓口での説明など、すべてがタッチポイントになる。
「たとえば、テレビ広告では『買い物ついでにおいで』といっているにもかかわらず、店舗窓口で『お客様のお困り事は何ですか』と訊かれたら顧客は面食らいます。ブランディングの方向性を決めたら、すべてのタッチポイントで同じメッセージを伝えられるよう社内で統一を図ることが重要です」(鹿毛氏)
今後も「ほけんの窓口」では「保険を勉強しに行く所」というブランディングを確立させていく計画だ。最後に中島氏は「138%の来客数増加といった成功体験は大きな自信になりました。これからも地道かつ愚直に歩を進めていきたいです」とコメントし、対談を締めくくった。
