※本記事は、2023年12月刊行の『MarkeZine』(雑誌)96号に掲載したものです
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1日の半分以上スクリーンに接触している生活者
メディアDXが生活者にもたらしたものは、溢れるコンテンツと時間・場所からの解放ではないだろうか。生活者は好きなときに好きなだけ好きなコンテンツに接触できるようになった。メディア側の時間に合わせるのではなく、自分の都合に合わせたメディア行動になったのだ。
こうしたメディア環境の変化をとらえるためにメディア環境研究所が実施したのが「スクリーン利用実態調査」である。スクリーンごとに「テレビ番組(リアルタイム)」や「テレビ番組(見逃し配信サービス)」など12のサービスの接触時間を調査した。図表1に示したとおり、各スクリーン接触時間の合計は731.2分(のべ時間1日あたり/週平均)。
のべ時間ではあるが、時間に換算して12時間11分も生活者はスクリーンに触れている。サービス別に見ると、スクリーンが多様化していることがわかる(図表2)。
最も接触時間の長い「テレビ番組(リアルタイム)」はテレビからの視聴が圧倒的に多いものの、テレビ以外のスクリーンからの視聴も28.0分と2割以上を占める。これまでのトリプルスクリーンとの違いは、テレビスクリーンとコンテンツがネットにつながることによって多接点になったこと。メディアDXの加速にともなって、スクリーンとコンテンツの掛け合わせは飛躍的に増加した。
逆に、スクリーンに触れていない時間を調査したところ、1日あたり3時間25分だった。性年代別では、男女ともに10代を除く20〜70代で、年代が上がるにつれてスクリーンに触れていない時間が長いという結果に。つまり、若年層ほどスクリーンに長く触れている(10代が20〜30代よりスクリーンに触れていないのは、未成年が多く生活時間が管理されているためだと推察している)。
スクリーンに触れていないときの行動トップ5は、「1.入浴(72.7%)」「2.トイレ(58.4%)」「3.身支度(43.4%)」「4.家事(43.2%)」「5.家族や友人・知人との食事(41.9%)」である。裏を返せば、入浴中でも約3割、身支度や家事の時間には6割近くがなんらかのスクリーンに触れているということだ。日常のあらゆる場面にスクリーンの時間が重ねられていると言える。