キャスティング/ディレクションは「人」と「情報」の2軸で大きく変わる
MZ:キャスティングではどのような視点が求められますか?
早坂:SNS全体においていえることですが、インフルエンサーがどんなコンテンツを発信し、どのように受容されているのかを解像度高く把握すると、「パーソナリティ(人)」と「インフォメーション(情報)」という2つの軸が見えてきます。
パーソナリティ(人)軸に位置するのは、人となりやキャラクターが支持されているインフルエンサーです。熱量の高いファンがおり、特定の企画にとどまらず活用の幅が広いことが特徴です。
一方、インフォメーション(情報)軸には、機能的な訴求やコンテンツ自体の面白さなど、情報自体に魅力を持ったインフルエンサーが位置します。情報を生活に役立てるという視聴態度で見られるケースが多いですね。
これらの軸で整理することで、課題感に応じたキャスティングが可能になります。
MZ:コンテンツディレクションはどのように設計していくべきものでしょうか?
早坂:コンテンツディレクションはインフルエンサーに紐づくもので、キャスティングと切っても切れない関係にあります。
たとえばパーソナリティ(人)軸でいうと「あのインフルエンサーが使っているなら私も」「発信を毎日追っているからPRも楽しく見られる」といった訴求の仕方があります。
インフォメーション(情報)軸のコンテンツを作るときも、訴求したい情報を“全部盛り”にするのか、インフルエンサー視点で言い換えて一点突破をめざすのかを踏まえてディレクションしていく必要があります。
早坂:まずは仮説を立てて設計し、発信した上でどのコンテンツがどれだけ反響があり、KPIに影響したのかをレビューします。キャスティングやコンテンツについてもPDCAを回し、それによって施策全体を綿密に設計していくのです。
広告を打つことで担保できることもある。費用対効果をより高める工夫
MZ:インフルエンサーマーケティングの要素としての広告の役割とは何でしょうか。
安藤:広告は、リーチをブーストさせ、インプレッションを担保するために必要な施策で、大きく3つの役割があります。
1つ目は、他の広告施策と効果を比較するために、インプレッションやリーチなどをある程度有意なところまで拡大することです。広告のコントローラブルな特性を活かせば、統一指標を計測することができます。
2つ目は、マーケティングKPIに必要なリーチやインプレッションを効率的に獲得することです。これらはプラットフォームごとのアルゴリズムにも左右されるため、フォロワー数に単純比例して伸びるわけではありません。最低限のリーチやインプレッションを効率的に獲得するためには、やはり広告が必要になってきます。
3つ目が、インフルエンサーのオーガニック配信だけでは届けきれない層に向けてターゲティングし、配信するためです。インフルエンサーの発信したコンテンツをいわゆる第三者配信と呼ばれる手法で配信し、リーチやインプレッションを担保します。広告を効果的に使うことでSNS上のUGCとの相乗効果が生まれ、PGCよりも広告の再生回数や単価が低く抑えられます。結果として費用対効果は高くなるのです。