VoC分析の世界的な3つのトレンド
──VoC分析・活用の世界的なトレンドを教えてください。
VoC分析のトレンドは、3つあります。最初のトレンドは、先ほど述べたような、「AIを活用した消費者インサイト分析の台頭」です。多くの企業がAIを活用し、レビューやソーシャルメディアのデータを分析することで、顧客の声をより深く理解できるようになっています。
2番目のトレンドは、「競合分析におけるインサイトの活用」です。ここで特に重要なのは、先進的なブランドが見ているのは、自社の顧客の声だけではないということです。ブランドは、競合と比較して自社がどのような位置付けにあるかを知り、それを戦略にも反映しています。そしてAIツールは、業界全体を俯瞰することが得意であり、その支援を受けることで、ブランドはマーケティング戦略の調整をより素早く行えます。
そして3番目には、「実際に商品を購入・検証した後のレビューデータの必要性」が挙げられます。今、ブランドは“本物の顧客”の声を求めています。そのためには、単なるフィードバックを集めるだけでは不十分です。
フィードバックを集める方法の1つにソーシャルリスニングがありますが、この方法は虚偽や不確かな意見に影響されかねません。インセンティブを受けたKOL(キーオピニオンリーダー)の投稿など、バイアスのかかった意見が混在しているからです。
だからこそ、購入者による検証後のデータが重要になっています。信頼に値するデータを用いることで、虚偽や不確かな意見に基づく誤った意思決定を防げます。
レビュー分析とソーシャルリスニングの違い
──ソーシャルリスニングよりも、レビュー分析のほうが有益ということでしょうか?
Revuzeは、ソーシャルリスニングと競合するとは考えていません。むしろ、この2つのデータセットとテクノロジーは、市場の全体像を把握するために、お互いを補完し合うものだと考えています。
ソーシャルメディアのデータは、ブランドの評判を把握する際に役立ちます。一方、レビューデータは実際の購入者による具体的な評価であるため、より実用的です。企業はこれらの詳細なインサイトを、今後の商品開発や製品ロードマップの調整、Eコマースの品揃えの判断に活かせます。
要約すると、ソーシャルリスニングは市場全体におけるブランドの“大きな姿"を把握できます。その一方で、レビュー分析はカテゴリー、サブカテゴリー、商品レベルで詳細に分析できる利点があるのです。
──ソーシャルリスニングとレビュー分析、双方を利用するのが世界的なトレンドなのでしょうか?
はい、その通りです。最近では、大手ブランドがソーシャルメディアのデータとレビューを組み合わせた分析を行うための提案依頼書(RFP)や、入札案件を公表し始めているのを目にしています。
とはいえ、VoCはレビューやソーシャルメディアの投稿だけではありません。Eメールやカスタマーセンター、ブログ、アンケート調査など、複数のデータソースがあります。これらが最終的にVoCの完全な全体像を提供してくれます。ただし、その中でもレビューは、最も信頼できるデータソースだと我々は考えています。