Meta内で新ロジックとして共有→国内外で検証が進行中
MarkeZine:CIBSは、Metaが導き出した運用手法なのでしょうか?
西川:はい、Metaではお客様のビジネス拡大に寄与する新たな手法の研究や議論が、グローバルで盛んに行われています。CIBS自体は以前から社内で議論されていたのですが、オーストラリアとニュージーランドで実践を試みたところ、たしかな手応えがあったということで、日本でもぜひ展開したいとナハトさんにお声がけしたのです。
MarkeZine:ナハトの栗田さんは、CIBSについて聞いた時、どのような所感を持たれましたか?
栗田:我々がMeta社と直接コミュニケーションを取るようになったのは、実は最近のことで、それまでは我流でMeta広告をハックしてきました。そのような中でも「ペーシングのような機能が働いているのだろう」ということには何となく気づいていたので、西川さんからCIBSのロジックを説明された時は「なるほど、たしかにうまくいきそうだな」と思いました。
MarkeZine:CIBSでは、キャンペーン予算を通常より大きな額で設定するということでリスク面での不安がありそうです。その点はどう捉えていますか?
栗田:出稿額が予算以上に上がってしまうリスクはやはりあるので、CVの定義が明確な案件に絞り、小さい規模からテストしていく必要があると思います。
一方、冒頭でご紹介した通り、弊社は成果報酬型を中心に運用支援を行っており、広告主様から「広告予算」を預かるケースは多くありません。つまり、CIBSを実践するにしても、自分たちでリスクを背負い、クライアント様に成果をお返しすることができるのです。その意味で、CIBSは弊社の強みや特長がよく活きる手法だとも考えています。
【ナハトの実践例】獲得件数を大幅に上げつつ、CPA・CPMは低下
MarkeZine:ナハト社では、CIBSを実施して、どのような成功事例が出ていますか?
栗田:CIBSの導入前後を比較したところ、導入後に「CPA27%減」「獲得件数3.6倍」「CPM19%減」という結果が出た案件がありました。CPAだけでなく、CPMも下げられたという点がポイントだと思います。
また、別のクライアント様の案件でも「CPA27%減」「獲得件数5.7倍」「CPM23%減」といった結果が出ており、多くの案件でCIBSの効果を実感しています。なお、いずれも月額予算が数千万円規模の事例ですから、CIBSによるインパクトの大きさが想像できるでしょう。
MetaにはASCなど別プロダクトもありますが、「運用手法」としてここまで数字を伸ばせるものはなかなかないと思います。
西川:従来の広告運用ロジックでは、効果を高めるためにターゲティングを狭め、特定の層を狙いにいくことが一般的でした。たしかに、この方法で獲得効率が高まるのは事実ですが、同時に対象となる市場規模を縮小させてしまう可能性もあったわけです。
しかし、CIBSでは、獲得効率の向上と配信規模の拡大を同時に実現することができます。そのため、効率だけでなく獲得を伸ばしたい・出稿額を伸ばしたいという目的がある場合には特に有効でしょう。逆に、CPAがそもそも低いカテゴリ(アパレル、ゲームアプリ系)では、今のところ成功事例が多くない状況であり、さらに研究が必要だと感じています。
栗田:もう1つ、CIBSの特長として注目すべきは、競合との競争が激しい環境下でも効率的にターゲット層を拡大し、獲得層を増やすことができるということです。要は、Metaの広告配信において、複数の企業が同じターゲット層を狙っている時に起こるCPMおよびCPAの高騰を解消することができます。CIBSによる成果向上は、これによる影響も大きいのだろうと見ています。