利用促進に導いた“参加条件”の工夫や“良い組み合わせ”のクリエイター起用
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柴﨑:このキャンペーンでは、まずTimeTreeをダウンロードしてカレンダーに友だちを招待していただきます。友だち同士で叶えたい予定を決めたらTimeTreeにそれを登録する様子の動画や友だち全員の予定のスクリーンショットを撮っていただき、さらにその動画や画像をTikTokにハッシュタグ付きで投稿していただくことで応募が完了します。そして当選したユーザーの「叶えたい予定」をTimeTreeが実現する、というインセンティブキャンペーンになります。また、予定を叶えるだけではなく、「叶えたい予定」の当日に撮影クルーも同行させていただき、「予定」の様子を撮影。その思い出のエモーショナルなムービーもプレゼントする、というものです。
ギフト券やお金のような直接的なインセンティブと異なり、夢を叶える・思い出を作るというインセンティブはユーザーにとって良い印象が残りますし、何より「その後もグループの中で使い続けていく」というきっかけになります。
企画の肝は、キャンペーン参加の必須条件に「誰かを誘う」という要素を入れたこと。この条件を必須にすることで、TimeTreeの利用の輪が広がることを狙いました。当時はBeReal.が「仲良しグループで使うアプリ」として話題になり、TikTok上でもムーブメントを起こしていたことから、「コミュニティ単位」で巻き込む企画が重要だと考えました。
このムーブメントの文脈で、TimeTreeでも「仲間内で予定を立てている動画」を見てもらい、「自分も使ってみよう」と思ってもらうことで、ムーブメントが起こることを期待していました。
━━キャスティング面の工夫についても伺えますか?
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Hakuhodo DY ONE 渡邊彩芽(以下、渡邊):企画のポイントである「誘い合ってTimeTreeを使う 」という点を視聴者に自分ごと化してもらうため、クリエイターにも単なるキャンペーン告知ではなく、クリエイター同士で誘い合いTimeTreeを使う様子を発信してほしいと考えました。そのため、誰とどんなシーンで使うのか、ターゲットである若年層のインサイトを掘り起こし、最終的にカップル・友だち同士・仲の良いグループなど想定利用シーンに合致し、なおかつ利用促進の効果に期待できる4組のクリエイターさんを起用しました。
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渡邊:キャスティングのポイントは、ターゲット世代に人気なクリエイター同士のコラボを実現したこと。仲の良いクリエイター同士でTimeTreeを使う様子を描くことでターゲット層の関心を高め、自分ごと化してもらうことを狙いました。
制作段階では、各クリエイターに対してそれぞれ「こういうシーンを見せて欲しい」「こんなメッセージを伝えたい」という意図は細かくディレクションしています。一方、クリエイターさんは視聴者の心をつかむプロなので、演出や見せ方についてはクリエイターさんの意思を尊重しながら一緒に制作に当たりました。
主婦層には「ライフハック軸」で理解を促進 公募型でリアルかつ魅力的な利用法の発見も
━━もう一つのサブターゲットである主婦層向けの施策についても教えてください。
柴﨑:主婦層に関しては既にTimeTreeの認知が取れていたので、今回はあまり知られていないタスク管理などのライフハック機能を「#わたしのタイムツリーチュートリアル」として訴求することにしました。というのも、主婦層からはお得情報や効率化などライフハック系動画が支持されているからです。そこで人気がある主婦クリエイターによるTimeTreeの使い方動画の制作やその動画を活用した広告配信をすることにしました。
ポイントは、クリエイターの動画だけでなく、「#わたしのタイムツリーチュートリアル」として公募の形を取り、実際のユーザーの方に使い方を発信していただいたことです。公募型でUGCを募ることで、「夫婦やカップルでの使い方を発信する」というムーブメントの自然発生を狙いました。
渡邊:キャスティング面では、TimeTreeの利便性をコンテンツにしっかり落とし込むために、主婦クリエイターの中でもライフハック系の発信を強みとされている方に協力をお願いしました。実際にTimeTreeのユーザーであるクリエイターの起用が叶い、ご夫婦同士でメモ共有やチェックリストなどの予定管理以外の機能を実際にどのように生活に取り入れているかを動画にしていただきました。
公募施策でもユニークなアイデアが集まりました。たとえば、義母とTimeTreeでの予定共有を始めた方からは、「お互いの予定が把握ができたことで家族の時間を作りやすくなり、家族の絆が深まった」というストーリーが投稿されました。TimeTreeにより絆が深まるという情緒的なストーリーが投稿されたことは、私としても驚きと、発見がありました。公募型の施策を通じて、ユーザーのリアルな声を集めることができ、我々では思いつかなかったような多様なTimeTreeの活用方法をアピールできたと感じています。