「体系化」と「実践」の両輪で効率的に「型」をインストール
MZ:これまでの一般的な研修プログラムと比較した時に、susworkの研修で特徴的だと感じた部分を教えてもらえますか?
赤尾:講師と参加者のコミュニケーションが多い、インタラクティブなスタイルであることが特徴的でした。すべての研修で実践ワークを豊富に取り入れており、個人でも実際に自分が関わる事業をテーマに手を動かすワークショップを行ったのですが、その実践内容を数名が発表し、その場で田岡さんが戦略策定のポイントやアドバイスを説明する、いわゆる“壁打ち”の機会が豊富にありました。
こうすることで、参加者一人ひとりが主体的に研修に参加することに加えて、発表してくれた他の人の意見やそれに対する田岡さんからフィードバックも聞けるため、参加者全員にとって非常に有意義な研修となったと思います。
また、田岡さんは講義の合間で随時、参加者に感想を聞く時間も設けてくれていました。これは質問ではなく“感想である”ところが肝だと感じていて、他の参加者が「関心をもった箇所」を言語化することで新たな気づきを得られます。ただ質問を募るだけよりも感想のほうが発言しやすいため、研修自体が活発化していましたし、感想を話す中で新たな質問も生まれていました。
MZ:susworkとして今回の研修を実施する上で意識していた点はありましたか?
田岡:今回の研修プログラムのポイントは、「体系化」と「実践」でした。ここでいう体系化とは、先述したマーケティングの一連の「型」をヤマハ流として整理し、浸透させることを示しています。これがない場合、たとえ良い内容の研修を行っても、実務のどこでそれを活かせば良いのかわからず、結果的に研修内容が無駄になってしまう可能性が高まります。
そのため、まず当社とヤマハ様の間で会社全体としてあるべきマーケティング戦略の道筋を整理し、一緒にブラッシュアップ。その道筋の中から特に重要である「顧客理解」「顧客価値」「顧客体験」「企画実践」などの部分をピックアップし、重点的に研修に落とし込みました。最終的に、先ほど挙げられた全4種のプログラムへと組み込んでいます。
また、実務へとわかりやすく結びつけるために、研修内でワークショップの時間を設け、受講者自身のビジネスに関する初期仮説を立ててもらいました。その上で、その仮説に対して私が研修内でフィードバックを行いました。
こうすることで、実務での戦略やゴールを意識しながら、その戦略を実行するために理解すべき要素を研修の中で学ぶ。そして研修を終える頃には、研修で学んだ内容を活かしながら自身で戦略を立てられる仕組みになっていました。
口コミで参加者が増加し、1年間で7部門横断、250人以上が参加
MZ:研修プログラムを導入するにあたって設定した目標を教えてください。
赤尾:初年度である今回は、各事業部に所属するマーケターのうち「本当に研修を必要としている人たち」が研修を受け、理解・満足してもらうことを重視しました。
中でも「各部門が継続的に参加すること」は特に重要視していました。たとえ1回目の研修で参加してもらえなかったとしても、満足度が高く離脱部門がなければ、評判を聞いて新たに参加してくれる部門を増やすことできます。実際、今回の研修は回を追うごとに参加部門が増えていきました。
MZ:同研修を通して得られた成果について教えてください。
赤尾:計7部門から、延べ250人以上が参加してくれました。実際に参加したのは、楽器、音響機器、ゴルフ関連、音楽教室などの事業部に加えて、営業本部、デジタルマーケティングチームまでと様々でした。それ以外にも、商品企画や開発に関わる人なども参加してもらえて反応も良かったため、今後はさらに対象を広げていきたいと考えています。
また、受講後に実施したアンケートでは97%が「満足した」と回答。理解度に対しても同様で、97%が「理解した」と回答しました。研修内容は、実際に業務で積極的に活用されており、田岡様や我々に対して、「企画書を書いてみたから壁打ちしてほしい」という相談も多数寄せられました。