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ヒットの“兆し”をAIで予測! エイベックスの旧譜リバイバルプロジェクト

プレイリスト経由の再生数は前年を上回る伸びに

──プロジェクトの始動から約1年半が経った現在、どのような成果や反響が見られましたか?

 マネタイズの観点で言うと、まだまだ渋いのが正直なところです。旧譜がいつもより聞かれただけでは、大きな経済効果を期待できないためです。ただ、月によって変動はあるものの、プレイリスト経由で聞かれる再生数が前年を上回る伸びを見せたと聞いています。兆しの把握が旧譜に対する新たな打ち手の一つとして、確立しつつあるのではないでしょうか。

──社内の反応はいかがですか?

 プレイリストの作成担当者からは、非常にポジティブな反応をもらっています。膨大な数の旧譜の中から、話題になりそう/なっている楽曲を人力で調べていた場合に比べると、初期提案がもらえる今の状況は負荷が軽いはずです。仮説を立てる際のソースが増えたと喜んでくれています。「兆し=万能」ではありませんが、通常業務と組み合わせることによって、大きな力を発揮しているのではないでしょうか。

──最後に、高畑さんの展望をお話しください。

 世間ではAIがホットワードですが、当社でもAIの活用を積極的に進めているところです。その上で、我々のチームはデータの整備に力を入れています。データがあれば、生成AIはそれなりの回答を吐き出します。ただし、その回答は実務で使えるレベルに届きません。AIがデータを読み取りやすい状態をつくる、いわゆる“AI ready”に目下取り組み中です。

データの整備がAIの効果を最大化する

 たとえば当社では、最近リリースした「新曲」に対して、その前にリリースした曲を「前作」と呼びます。前作が指すものを理解してくれるAIとしてくれないAIがあるため、言葉の定義をする必要があるのです。また日付一つを取っても、それが「再生日」を指すのか「配信開始日」を指すのかで、意味合いが変わってきます。正しい説明がなければ、AI側が使い分けてくれないのです。

 非常に地味な作業ではありますが、これをやっておくと将来が非常に楽になります。とはいえ、やる労力に対して目先で得られるメリットが大きくないのも事実です。リソースが潤沢なチームならさておき、我々のように少数のチームの場合はどうしても他の業務の優先度が高くなるでしょう。高度なAIの効果を最大化するための準備として、一生懸命取り組んでいます。

 我々の取り組みだけでヒットを生むことは正直難しいです。クリエイティブや社会の動向など、複合的な要素が合わさってヒットは生まれます。しかし、そのお手伝いはできると信じて、これからも活動を続けていきます。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/04/22 07:00 https://markezine.jp/article/detail/48564

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