ボストン コンサルティング グループ(BCG)は、全国18歳以上の消費者8,260人を対象とした「BCG消費者心理調査」の最新結果を公表した。本調査は2020年に開始した「BCG COVID-19 消費者心理調査」から通算11回目となる。
食品・飲料、旅行・移動のカテゴリーで消費者の80%以上が値上げを実感
調査によると、食品・飲料、アパレル・ファッション、旅行・移動、エンターテインメントのカテゴリーで8割超の消費者が「直近で価格が上がったと感じる」と回答した。前回調査でも7割超が同様に回答しており、値上げの実感は継続している。一方、「消費行動を変えた」と回答した割合は前回から大きな変化はなく、物価上昇による消費行動の変化は落ち着きつつある。

同一商品でも価格が異なる「一物多価」については、過半数の消費者が受け入れられると回答。イートイン・テイクアウトによる価格差は84%、都心と郊外の人件費による価格差も75%が許容している。ただし、同じ要因でも伝え方によって許容度は異なり、「離島のコンビニ弁当が高い」は75%が受け入れるのに対し、「地方都市のATM手数料が割増」は24%にとどまった。

生成AI使用経験がある消費者の7、8割が企業のAI活用に期待
今回の調査では、消費者が企業のサービスにおけるAI活用についてどのように考えているかについても質問。生成AIの使用経験がある/日常的に使用している人ほど、「AIによってより暮らしやすくなる」と考えていることがわかった。
生成AI使用経験がある消費者(全体の22%)のうち、AI活用に関して「問い合わせへの回答」(83%)、「クーポンの個人最適化」(77%)などへの期待が高い。未経験者層での期待は5割前後だった。

BCGの紀平啓子氏は、「日本でもインフレが一過性の出来事ではなくなり、消費者の意識は大きく変わってきています。原価上昇やコストの違いによって値段を使い分けることが“フェアな値付け”だと考える傾向は、今後も強まると見ています。AIなどの新たなテクノロジーが活用されることへの期待も高まっています。企業はこのような環境下で、どのように価格を設定し、消費者に説明していくのか、より慎重かつ精緻に考えることが求められています」とコメントしている。
【調査概要】
調査資料:「 BCG消費者心理調査――価格設定の高度化を見据えて 」
実施時期:2024年8月9~20日
回答者数:8,260人
対象者:全国18歳以上の男女を対象にオンライン実施
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