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MarkeZine Day 2026 Online

脱・経験則!廃棄38%減を実現した花王の「AI需要予測」とマーケティング共創プロセス

泥臭さが鍵に。現場とともに育てるAI予測

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 本事例から得られるインサイトは、AIというテクノロジーの導入それ自体を目的化してはならないという教訓だ。セッションでの対話からもわかるように、需要予測モデルは結論を出すためのブラックボックスとして扱うべきではない。算出された数値をベースに「次にどうすべきか」を関係者間で議論するための共通言語として機能させることが重要となる。業務プロセスや部門間の意思決定フローにAIをどのように組み込むかという実装の設計こそが、DXを成功に導く最大の要所と言えるだろう。

 さらに、市場環境や消費者の嗜好は常に変化しており、一度構築した予測モデルが永続的に機能し続ける保証はない。ブランド戦略の変更や新たなトレンドに対してモデルを即座にチューニングしていくためには、データサイエンティストがDX部門にとどまらず、マーケティングの現場に深く入り込む姿勢が不可欠だ。

 松本氏が「現場の変化を予測モデルに反映させる共創ですね」と表現したように、現場の一次情報をリアルタイムで吸い上げ、データとしてモデルに反映し、結果を再び現場に還元していくサイクルが前提となり、これを回す泥臭い活動が求められる。技術と業務の間に立つ人材が同じ目線で事業に向き合う組織文化の醸成が、データ駆動型経営への最短ルートとなるはずだ。

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数字が共通言語になる。部署の壁を越える対話

 「経験則に基づく判断」から「数値に基づく判断」への移行は、花王における需要計画業務の高度化にとどまらず、企業全体の稼ぐ力を底上げする強力な駆動力となっている。同社は今後も、市場の微細な変化を現場のマーケターとともに捉えながら予測モデルを持続的にアップデートし、さらなるビジネス価値の創出を目指していく姿勢を示した。

 松本氏がセッションの最後に総括したように、本取り組みの真の価値は、マーケティング部門やDX部門といった職域の枠に閉じず、それぞれの職能や視点、考え方を横断してプロジェクトを推進した点に集約される。AIという客観的な指標を活用しながらも、最終的には部署の垣根を越えた人間同士の対話が事業を力強く推進していく。セッションで語られた実践的な知見は、新たな価値創造とデータ活用に挑むすべてのビジネスリーダーにとって、自組織の取り組みを一段上のレベルへ引き上げるための確かな道標となるだろう。

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/06/30 07:30 https://markezine.jp/article/detail/50878

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