“面取り合戦”を経てマーケティングを本格始動
──御社は2018年4月に、モバイルバッテリーのシェアリングサービス「CHARGESPOT」を開始されました。この8年で事業はどのように成長してきましたか?
基本的には右肩上がりの成長を続けています。当社のサービスでは、何よりも設置場所が重要です。サービスの利用、つまり購買が100%オフラインで発生するため、配架の徹底がプライオリティの最上位でした。
「借りたい」あるいは「返したい」と思ったときに、すぐ近くにバッテリースタンドがなければサービスとして成立しません。そのため、サービスの開始時から地道な営業活動を続け、設置場所を確保する“面取り合戦”を全国規模で繰り広げてきました。大手3社のコンビニに設置が完了したタイミングで利便性が一気に高まり、ユーザーが加速度的に増加しました。
──営業先行のフェーズから、マーケティングへの投資に舵を切ったのはいつ頃ですか?
約2年前です。全国の設置台数が約4万5,000台に達し、インフラとして生活者の身の回りに存在する状態をつくることができました。しかし一方で「サービスの名前や存在は知っているが、実際に使ったことはない」という潜在顧客の多さが課題でした。新規ユーザーの獲得ペースが、初期の急成長スピードに対して鈍化し始めたため、営業による設置場所の拡大だけでなく、利用の啓蒙やブランドに対する愛着の醸成を図るマーケティングの必要性が高まったのです。
バッテリーと筐体だけではニュースを生みにくい
──モバイルバッテリーのシェアリングサービスならではの、マーケティングにおける難しさはありますか?
効果測定や効果の実感が難しいビジネスだと思います。なぜなら、広告を見たからといって、その瞬間に「よし、モバイルバッテリーを借りよう」とはならないからです。充電が切れかかる切実な状況が発生して初めて利用されるサービスですから、広告を打った直後に売上が一瞬でスパイクするようなことは基本的にはありません。
ただ、コミュニケーションを粘り強く継続することで、定期的なアンケート調査における認知率がじわじわと向上したり、数ヵ月のスパンで新規利用者数のベースラインが上がったりはします。マーケティングが後から効いてくるタイプのビジネスだからこそ、社内の理解を得る過程ではハードルも多いです。
──2025年10月より、アイドルグループ「timelesz」を起用した大型プロモーションを実施されています。起用の背景にあったマーケティング課題を教えてください。
最大の課題は「ニュースを生みにくい」という点にありました。CHARGESPOTは筐体(バッテリースタンド)とモバイルバッテリーだけで成立するサービスです。日用品や食品のように「新しいフレーバーが出ました」「新機能を追加しました」という大きなニュースを頻繁に発信することはできません。インフラとして便利な存在ではあるものの、放っておくと生活者から忘れ去られてしまいます。
充電が切れそうになったとき真っ先に思い出してもらうためには、生活者とブランドの日常的な接点を生む仕掛けが不可欠でした。その仕掛けとして、トップアイドルであるtimeleszさんとのコラボを企画しました。
