サイバーエージェントにおける「人間」の役割
──サイバーエージェントでは広告効果向上を図る生成AIプロダクト群「極シリーズ」を展開されています。2020年5月に「極予測AI」を発表してから6年、プロダクトの現在地を教えてください。
最初は社内に閉じた広告運用上での技術からスタートしましたが、「極予測AI」「極予測TD」「極予測LP」とクリエイティブ領域全体をカバーするにつれ、広告主、あるいはその先にいる生活者に見える技術へと変化してきています。

次のステップとして、「極シリーズ」は先に述べた「分業を変える」ための技術へと進化する予定です。現状は主に制作領域を担う「極シリーズ」ですが、AIの進化による再分業にともない、さらに広い領域をカバーする可能性もあるでしょう。
──「極シリーズ」による再分業がますます進むなか、サイバーエージェントでの「人間」の役割はどんなところにあるのでしょうか。
仕組み全体の設計やチューニングですね。既に当社では、コンサルタントやトップクリエイターが、色調整やコピーライティング、フォント選定など、それぞれ特化した複数のAIを束ねる「指揮者」のような役割へと移行し始めています。1つのアウトプットに仕上げるために、複数のAIをどう組み合わせれば効果が最大化するかを設計するのが、今のトップクリエイターの仕事です。
もちろん、「いい広告を作って効果を出す」という目的は変わりません。ただ、1つのクリエイティブをじっくり作り込む時代から、何十万個、何百万個作るのが当たり前の時代へと、大きなパラダイムシフトが起きていると言えるでしょう。
広告業界は「専門」と「統合」を繰り返す。AIにおける専門性でさらなる飛躍を
──最後に、サイバーエージェントとして今後力を入れていきたい領域や展望を教えてください。
「伸びる領域を見つけて大きなシェアを取る」こと。ビジネスを大きくするには、その繰り返しに限ると考えています。
広告業界は、買収・再編で「統合」に向かうフェーズと、「専門性」の高い会社が増えて、成長するフェーズの繰り返しで歴史を重ねてきました。特に市場が成長するのは、専門性の高い会社が増えるフェーズです。過去を振り返ってみると、Google登場のタイミングでサーチ領域の専門代理店は増加し、インターネット広告市場は急成長を遂げましたよね。
サイバーエージェントは「専門」のフェーズで成長した会社です。私たちはいつも、“その時いちばん伸びる専門領域で一番を取る”という発想でやってきました。専門で尖ることに徹してきた会社です。だからこそ、AIのような高い専門性が問われる分野が登場したとき、いかに突出できるかが成長のカギ。
私たちはいつでも「専門プレーヤー」としての原点に立ち返り、その都度拡大を続けていきたいと考えています。広告市場は今まさに、AIという新たな「専門」フェーズ。「極シリーズ」をはじめとしたAIプロダクトに今後も注力し、インターネット広告におけるAI領域を牽引できるよう、挑戦を続けていきます。
