1.3億人超の「暮らしのデータ」を共創に活かす
Vポイントマーケティングは、CCCMKホールディングスにおける2026年3月の資本再編を経て、2026年4月より現在の社名へと変更した。SMBCグループとの連携を強め、新たな事業フェーズへと足を踏み入れている。
同社のVポイント事業は、前身のTポイントから通算して、会員数(有効ID数)1億3,000万人以上、提携店舗数約16万店という膨大な基盤を誇る。
「カードを複数枚発行している会員は名寄せしていますが、それでも日本人口の半数程度を網羅し、年代の偏りもなく均等に分布しています。統計的にも極めて精度の高い数値と捉えています」(廣田氏)
V会員が提携先で購買やサービス利用を行い、Vポイントが付与される際、その背後ではVポイントマーケティングのシステム内に購買データが蓄積されていく。購買した商品名や点数といったレシート単位の詳細な内容から、業態や店舗を横断した購買行動を可視化できる点が特徴だ。
これは生活者の日常を立体的に、かつ高解像度で捉える「暮らしのデータ」だと廣田氏。同社は、このデータを活用することで、V会員という生活者と提携企業をつなぐ「共創プラットフォーム」の構築を目指している。
生活者のLX(生活体験)変革に挑む
この共創プラットフォームは、具体的にどのような価値をもたらすのか。
提携先に対しては、個社単独のデータでは見えてこない広範な行動変容データを基に、V会員の動きを分析。顧客理解の深化やCRMの精度向上を促し、新規顧客の送客や既存顧客の離脱防止といった課題解決を支援している。
一方で、同社はV会員の体験設計にも着手している。モデレーターの門口氏からその背景を問われた廣田氏は、Vポイントを取り巻く外部環境の変化を挙げた。
「Tポイントは共通ポイント事業のパイオニアであり、発足当初は競合が存在しませんでした。しかし現在では多種多様なポイントサービスが存在し、生活者の選択肢は大きく広がっています。レジ前で『どのポイントを貯めようか』『どのバーコードを提示しようか』と選択する主導権は生活者にあります。このような市場環境において選ばれ続けるためには、ユーザー像をより深く理解することが不可欠なのです」(廣田氏)
たとえば、何ポイント貯まればVポイントを利用し続けようと思うのかといった感覚は、ユーザーごとに大きく異なる。ポイントを付与する施策一つを取っても、会員一人ひとりのポイント保有数や利用状況を見極めたうえで調整を行う必要がある。
そこで同社は2024年10月にカスタマーバリューの専門部署を立ち上げ、これまで提携企業向けに提供してきたデジタルマーケティングのノウハウを、V会員の体験向上へと還元する取り組みを本格化させた。BtoC/BtoB両軸の施策で共創プラットフォームを築くことで、「CX(顧客体験)」という枠組みを超え、V会員の生活そのものを豊かにする「LX(生活体験、Life Experience)」の再設計に着手したのだ。

