Webマーケティングも「プロダクトアウトからマーケットインへ」
Webマーケティングといえば、SEOやリスティング広告、LPOやSMOなど、アクセスログ解析やユーザビリティといったキーワードばかりが注目されています。それらはまるでWebマーケティングが既存のマーケティングとは異なるものであるかのような印象さえ与えます。そうした手法への注目は企業にその手法の向こう側にいる顧客、ユーザーのことを忘れさせてはいないでしょうか?
マーケティングにおいては古くから「プロダクトアウトからマーケットインへ」ということが言われてきました。商品・サービスから発想するのではなく、顧客の側から発想せよという考え方です。現状のWebマーケティングの発想にもまさに同じ指摘ができます。手法からではなく、顧客の側から発想せよと。
市場の状況に応じて発想を使い分けることが大切
もちろん、プロダクトアウトの発想が必ずしもダメだということではありません。需要と供給のバランスにおいて、商品の選択肢自体が少ない場合を考えてみるとわかりやすいと思いますが、供給側の力が強いときにはプロダクトアウトの発想も必要です。しかし、逆に市場に様々な商品があふれかえり、顧客側のニーズもそれに応じて多様化し需要側が強くなった場合にはマーケットインの発想が必要とされます。多様化によって選択肢が増加すれば、当然、顧客はより自分のニーズにフィットした商品、魅力や親しみを感じてもらえるブランド、信頼できる企業を選ぶようになります。
顧客に選ばれるためには、まず、企業の側が顧客を知らなくてはなりません。顧客を知ろうともせず、顧客に訴えかけるようなコミュニケーションが行えるはずもないからです。日常の会話を思い浮かべればわかると思いますが、相手の話を聞かずに、相手に伝わるような話ができるでしょうか? ただ、しゃべりたいだけならそれでもかまわないのでしょうけど。
市場と顧客の理解からはじめる上流工程の5つのフェーズ
Webマーケティングの上流工程を、市場動向と顧客の理解からはじめるとすると、どのようなプロセスが考えられるでしょうか。下記はその一例です。
フェーズ1. Webマーケティングの目的と主要顧客の定義
フェーズ2. 調査による市場動向、顧客のニーズや利用状況の把握
フェーズ3. 顧客要求の明示、ポジショニングのためのコミュニケーション・スキームの作成
フェーズ4. 顧客視点でのコンセプトの開発
フェーズ5. マーケティング・コミュニケーションの具体的なプランニング
はじめに必要なのは、「自分たちが誰なのか」、「誰に何を提供することをミッションと考えるのか」を定義することです。市場や顧客を理解するといっても、自分たちの立ち位置が定まらなければ、誰のどんな声に耳を傾ければよいのかさえわかりません。自分たちの立ち位置が明確になってはじめて、自分たちが関係性を築こうとしている市場や顧客の調査が可能になるのです。