ソーシャルメディア解析の難しさ
User Insightのソーシャルメディア対応の背景を説明するにあたり、渡邊氏は自社クライアントの事例を挙げ、2009年10月時と、それから10カ月後の2010年8月時の『参照元(リファラ)比率』のグラフを比較した。
これによると、2009年時はYahoo!とGoogleの検索経由の訪問が6割を超えていたが、2010年度になり、その比率は5割を切り、代わって「リファラ無し」「CGM」が約半数近くを占めるようになっている。既存の解析手法では追うことのできない謎のアクセスが増えてきたのだ。
この「CGM」こそ、ソーシャルメディアからの流入であり、「リファラ無し」となっているのはTwitterの専用クライアントからの流入が多く含まれている可能性が高い。
日本のTwitter登録ユーザー数は300万人、Twitterを見ているだけのユーザーも含めると月間1000万人を突破している。その爆発的な人気を受け、今年の春ごろから『とりあえずアカウント開設をしよう』という企業が増え、今まさに『効果検証フェーズに突入』している、と渡邊氏は語る。
今すぐできる!Twitterアカウントの効果測定
Twitterを活用する企業では「毎日つぶやいているけど、ビジネスに繋がっている?」「フォロワーを増やして、どんな意味があるの?」といった悩みを抱えている担当者が多いのではないだろうか。実際にTwitterをマーケティング活用していくには、データに基づいた効果検証からの意思決定をしなければならない。
しかし、Twitterは専用クライアント経由の参照元が取れない、Twitterのタイムラインから来たユーザーは、http://twitter.comから来たユーザーとしか表示されず、個別のつぶやきを特定することができない、といった問題がある。これまでのアクセス解析では、参照元がわからないと解析ができないのだ。
渡邊氏は「そこで、今日はソーシャルメディア解析で重要な、2つの指標をご紹介します」と語り、まずその前にアクセス解析の概要を振り返った。
アクセス解析は「流入元分析」と「サイト内分析」の2つに分けられ、まずは「検索エンジン」「広告」「ソーシャルメディア」「メール」などの「流入元」を調べるところから始まり、『自社サイト内の行動』を追って、コンバージョンまでの流れを辿るというフローになっている。「ソーシャルメディアは流入元の中に入るので、ここを見るところから始まります」と渡邊氏は続け、ソーシャルメディア解析における重要な2つの指標の話に移った。
サイトへの流入数をカウントする
ソーシャルメディアから実サイトにどれくらい来ているのか、しっかりと数字を取ることが重要である。それにはTwitterの短縮URLサービス(bit.ly/t.co/googl/TinyURLなど)を利用する。『bit.ly』はクリック数解析機能があるので、これを利用するのが有効だ。
その際、ソーシャルメディアで告知したいURLのパラメータ部分に任意の文字を設定しておけば、どのつぶやきからクリックされたのかを特定することができる。その後、通常通りサイト内分析を行えば、Twitter経由のコンバージョンを測ることができるようになる。
フォロワー数の経済価値
Twitterのフォロワー数も、他の流入経路と同じように指標化することは可能である。「検索エンジン=検索順位、検索回数」「出稿広告=CTR、CPA」「メールマーケティング=メールアドレスの保有数」に倣い、つぶやき金額を換算してみる。
- フォロワー数(=読者数) 4,000人
- クリック率(=CTR) 0.4~4%(ユーザーローカル社の顧客データの平均値。仮に1%とする)
- クリック単価 100円(リスティング広告のクリック単価より想定)
- 配信数×クリック率×クリック単価
- 4,000(人)×0.01(1%)×100(円)=4,000(円)
つまり、1回のつぶやきは4,000円となり、フォロワー1人≒1円と換算できる。
有名人にRTされると、さらに高い効果が得られる。これを元に考えてみると、1回のつぶやきで40クリックされる場合、メールマーケティングで40クリックされるために1万通のメールを配信しているとしたら、1万件のメールアドレスと4,000人のフォロワーが同等の価値があることになる。リスティングも同様に、平均のクリック単価から40クリックされた場合の金額を自社の場合に当てはめて考えてみると、その広告価値も測ることができるだろう。