『Callクレヨン』を活用した新たなマーケティング例
では、楽天トラベルの例以外に、どのような活用方法が考えられるのだろうか。以下に例を示していく。
位置情報を活用したサービス展開
モバイルで取得できる最も特徴的なものとして、位置情報が挙げられる。馴染みのない土地で、サービスを受けたいときに「今どこにいますか?」と聞かれて、困った経験は誰しもあるのではないだろうか。
「位置情報からユーザーの位置を瞬時に特定できれば、保険のロードサービス・宿泊施設紹介・近い飲食店の紹介など、様々なシーンで質の高いサポートを提供することができる」(岡部氏)
他にも、警察や消防署が国を挙げてこのシステムを導入してくれれば、今回の東日本大震災のような災害が起きた時に、ひとりでも多くの救助に繋げることができるかもしれない。
電話によるコンシェルジュサービス
PhoneCookie®で取得したセッション情報を活用することで、受け身のカスタマーサポートだけでなく、コールセンターでPUSH型の商品提案を行うことも可能だ。
例えば、ファッション系ECサイトや家電販売、結婚式場の相談など、ヒアリングの手間と時間を省きながら、ユーザーの嗜好に合わせたアップセルが期待できる。
行動分析活用
これまでのWebマーケティングでは、アクセス解析ではじき出された数字を元に、仮説を立ててサイトのチューニングを行ってきた。
しかし、これに加えて『Callクレヨン』を活用すれば、サイト内の分析だけでなく、電話で取得したお客様の声を活かしながら、今まで分析できなかったところまで、分析することができるようになる。
例としては、ドロップ率の高いページに「電話をかける」ボタンを配置しておき、そこから電話をかけてきたユーザーに、どうして電話を選んだのか、というアンケートを取る。
すると、文言が間違っている、ページの説明がわかりにくいなど、数字だけでは把握できないチューニングポイントが見えてくる、という。「デジタルとアナログのデータを組み合わせることで、従来は拾えなかったサイトの問題も鋭くキャッチすることができるようになる。2つの側面からサイトを分析するPDCAをうまく回して、ユーザーのニーズに最適化したサイト運用をすることが大切だ」と、岡部氏は語る。
電話の導入でROI向上は導きだせるのか?
いくらマーケティング活用できるからといって、電話ボタンをWebサイト上に置くと、本来Webで完結するはずの顧客まで電話に流れてしまうのではないか、という懸念を抱くのは自然だろう。
けれども、楽天トラベルの事例からもわかる通り、電話ボタンを目立つ場所に置いても、モバイルで完結するユーザーは、モバイルサイトで予約をし続け、全体的な売上も成長を遂げた。つまり、電話で相談したいユーザーや、電話を好むユーザーを、これまでずっと逃していた、ということだ。
ROIの観点から見ても、1回の単純な利益率ではなく、ライフタイムバリューを換算すれば、コストの投下価値は十分にあると言えそうだ。
岡部氏は「ユーザー主導の時代に、ユーザーが企業へアプローチするルートをコントロールすることが、はたして得策なのだろうか? むしろ、十分な選択肢を用意してユーザーのアクションを受け止めるべきだ」として、本講演を締めくくった。
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