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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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統括編集長インタビュー

「本屋の“フラっと体験”をスマホで提供したい」
朝8時のファーストスタンダードへと進化するGunosyの狙い

 ネット上の膨大な情報から、ユーザーの関心や嗜好に合わせた情報を推奨してくれる「Gunosy」。2013年5月27日時点でのユーザー数は22万人に達し、iPhoneやAndroid向けアプリも早々にリリース。いまもユーザーは1日千人単位で広がっているという。人気の秘密はどこに。

ユーザーの行動履歴を学習し“自分向けメディア”に成長

株式会社Gunosy 代表取締役CEO 福島良典さん
株式会社Gunosy 代表取締役CEO 福島良典さん

 ── サービスイン以降、順調にユーザー数を伸ばしていると伺いました。現状に対する、率直な感想を聞かせてください。

 福島:Gunosyでは、ユーザーの関心や嗜好に合ったニュース記事を、毎朝メールでお届けしています。ご評価頂いている理由は、ユーザーの嗜好と推奨する記事のフィット感だと思います。年齢や性別といった一般的なプロフィールではなく、ユーザーがTwitterやFacebookで発信した内容を解析しているので、より個人の嗜好に近い情報を推奨することができます。

 ── 私も、毎朝おすすめ記事のメールを頂いています。例えば「ビジネス」と「メディア」のように、私の興味関心はひとつではないのですが、Gunosyはそれを理解しているようで…。なぜ、私の頭の中がわかるのでしょうか。

 福島:ありがとうございます。届いたメールから好みの記事を閲覧すると、クリック傾向も学んでくれるので、どんどん自分向けにカスタマイズされます。「検索エンジンでは100ページ目に掲載されるようなマイナーな情報」でも、ユーザーにとって重要なら推奨されます。

 ── 利用するほど推奨の精度は高まるというのは、嬉しいですね。どのような仕組みになっているのですか。

マーケティング部 竹谷祐哉さん
マーケティング部アライアンス担当
竹谷祐哉さん

 福島:いわゆる言語解析技術をベースにしています。独自のアルゴリズムを採用し、常に進化させている点が大きな特徴です。現在のエンジンは、Gunosyをリリースした1年半前に比べると「別物」のようになっています。6名の社員のうち、5名が開発担当で、「開発以外」を一手に引き受けているのが竹谷です(笑)。

 竹谷:こんにちは。主な担当はマーケティングですが、実際は「開発以外の仕事すべて」を請け負っています。ちなみに社長と開発者は全員東大ですが、私は大学も違います。社内で天気の話をすると、すぐに「ヘクトパスカル」みたいな単語が出てくるので、最初は困惑しました…。

 ── Gunosyは、福島さんが学生時代に開発されたんですよね。

 福島:2011年8月、私が大学院1年生のときにはじめたプロジェクトです。勉強のためにデータマイニングを使ったWebサービスを開発しようと考え、学部時代からデータマイニングを勉強してきた知人たちに声をかけました。当時はスタートアップブームのような風潮もありましたが、「稼ぎたい」というより、「使ってもらいたい」という気持ちが強かったです。

 ── Gunosyは、福島さんが使いたかったサービスなのですか。

 福島:実は当時、RSSのサービスが普及していたのですが…私、RSSを使いこなすことができなかったのです(笑)。登録しても、1回読んだらおしまい。未読があっという間に1000件を越えてしまい、習慣化しませんでした。ですから、私の嗜好に基づいて記事を推奨してくれたらいいな、とは思っていました。

 竹谷:当時は、「推奨エンジンブーム」でもありましたね。

 福島:7~8年前、アマゾンがユーザーの購買履歴をもとに、商品の推奨をはじめました。以降、「より良い推奨エンジンを」と世界の研究者がこぞって参入しましたが、ことごとく破れました(笑)。アマゾンの場合は、購買履歴でユーザーの志向を分析できますが、他の企業や研究機関にはそのデータがなく、研究が進まなかったのです。

 でもTwitterやFacebookが浸透し、ユーザー自ら、志向を発信する時代になりました。そこで私たちは、Facebook、Twitterなどの発信データを分析して記事を推奨するアイデアに辿りついたのです。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

齋藤 麻紀子(サイトウ マキコ)

フリーランスライター・エディター

74年生まれ、福岡県出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。 コンサルティング会社にて企業再建に従事したのち、独立。ビジネス誌や週刊誌等を通じて、新たなビジネストレンドや働き方を発信すると同時に、企業の情報発信支援等も行う。震災後は東北で起こるイノベーションにも注目、取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/05/29 08:00 https://markezine.jp/article/detail/17761

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