ユーザーの行動履歴を学習し“自分向けメディア”に成長
── サービスイン以降、順調にユーザー数を伸ばしていると伺いました。現状に対する、率直な感想を聞かせてください。
福島:Gunosyでは、ユーザーの関心や嗜好に合ったニュース記事を、毎朝メールでお届けしています。ご評価頂いている理由は、ユーザーの嗜好と推奨する記事のフィット感だと思います。年齢や性別といった一般的なプロフィールではなく、ユーザーがTwitterやFacebookで発信した内容を解析しているので、より個人の嗜好に近い情報を推奨することができます。
── 私も、毎朝おすすめ記事のメールを頂いています。例えば「ビジネス」と「メディア」のように、私の興味関心はひとつではないのですが、Gunosyはそれを理解しているようで…。なぜ、私の頭の中がわかるのでしょうか。
福島:ありがとうございます。届いたメールから好みの記事を閲覧すると、クリック傾向も学んでくれるので、どんどん自分向けにカスタマイズされます。「検索エンジンでは100ページ目に掲載されるようなマイナーな情報」でも、ユーザーにとって重要なら推奨されます。
── 利用するほど推奨の精度は高まるというのは、嬉しいですね。どのような仕組みになっているのですか。
福島:いわゆる言語解析技術をベースにしています。独自のアルゴリズムを採用し、常に進化させている点が大きな特徴です。現在のエンジンは、Gunosyをリリースした1年半前に比べると「別物」のようになっています。6名の社員のうち、5名が開発担当で、「開発以外」を一手に引き受けているのが竹谷です(笑)。
竹谷:こんにちは。主な担当はマーケティングですが、実際は「開発以外の仕事すべて」を請け負っています。ちなみに社長と開発者は全員東大ですが、私は大学も違います。社内で天気の話をすると、すぐに「ヘクトパスカル」みたいな単語が出てくるので、最初は困惑しました…。
── Gunosyは、福島さんが学生時代に開発されたんですよね。
福島:2011年8月、私が大学院1年生のときにはじめたプロジェクトです。勉強のためにデータマイニングを使ったWebサービスを開発しようと考え、学部時代からデータマイニングを勉強してきた知人たちに声をかけました。当時はスタートアップブームのような風潮もありましたが、「稼ぎたい」というより、「使ってもらいたい」という気持ちが強かったです。
── Gunosyは、福島さんが使いたかったサービスなのですか。
福島:実は当時、RSSのサービスが普及していたのですが…私、RSSを使いこなすことができなかったのです(笑)。登録しても、1回読んだらおしまい。未読があっという間に1000件を越えてしまい、習慣化しませんでした。ですから、私の嗜好に基づいて記事を推奨してくれたらいいな、とは思っていました。
竹谷:当時は、「推奨エンジンブーム」でもありましたね。
福島:7~8年前、アマゾンがユーザーの購買履歴をもとに、商品の推奨をはじめました。以降、「より良い推奨エンジンを」と世界の研究者がこぞって参入しましたが、ことごとく破れました(笑)。アマゾンの場合は、購買履歴でユーザーの志向を分析できますが、他の企業や研究機関にはそのデータがなく、研究が進まなかったのです。
でもTwitterやFacebookが浸透し、ユーザー自ら、志向を発信する時代になりました。そこで私たちは、Facebook、Twitterなどの発信データを分析して記事を推奨するアイデアに辿りついたのです。