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SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

音楽PVが世界で最もシェアされるのはタイ!?ソーシャルメディアが音楽にもたらす影響とは

ソーシャルメディアに対してアクティブなタイの生活者

 なぜ、タイの音楽PVは圧倒的なエンゲージメントを獲得しているのでしょうか。それは、ソーシャルメディア上で積極的に発言するタイ人の国民性にありました。英国のロンドンに本社を置くソーシャルメディア・コンサルティング企業「We Are Social」が発表している調査データ「Digital in 2016」では、世界30カ国のソーシャルメディアの利用状況の統計がまとめられています。これを見ると、タイは世界の中でもソーシャルメディアの利用率が非常に高い国であることが分かります。

 下のグラフは、ソーシャルメディアの利用率と、1日あたりの利用時間を国別に表したグラフです。

国別ソーシャルメディア利用率
国別ソーシャルメディア利用率:クリックで拡大
国別ソーシャルメディアの1日あたりの平均利用時間:クリックで拡大

 人口に対するソーシャルメディアの利用率は56%、1日の利用時間は平均2.9時間と、世界でも上位の水準にあります。さらに、タイの首都バンコクでのFacebook利用率は100%を超えるともいわれています。100%を超えている理由としては、地方に移住した人がバンコク居住としてそのまま利用しているアカウントも多く含まれていると推測されます。つまり、バンコクを中心とした都市部のほとんどの人がFacebookを非常にアクティブに利用しているのです。

ソーシャルメディア利用における日本との違い

 ちなみに日本は、利用率こそ42%と、世界30カ国平均(32%)を超えているものの、利用時間は0.3時間と非常に短く、ソーシャルメディアの活用状況は世界でもかなり低水準です。

 さらに、ソーシャルメディアとの向き合い方に関するタイ人と日本人の違いもはっきりと表れています。タイでは自らの行動をポストし、承認欲求を満たすような「かまってちゃん利用」が多いのに対し、日本は一部の情報発信者のポストを閲覧する「覗き見利用」が多い傾向にあり、そうしたソーシャルメディアへの接触態度が利用時間の差につながっているともいえます。

 こうして得られる数字をもとに分析を進めていくと、タイ語で歌う「T-POP」がエンゲージメント数ランキングの世界TOP10に入る背景には、タイ人のソーシャルメディアの利用方法や頻度が大きく影響していることは間違いないでしょう。

 このように、音楽PVというカテゴリをエンゲージメント軸で分析するだけでも、世界との比較の中で、日本人のソーシャルメディアを通じた様々なコミュニケーションの状況が浮かび上がります。

 マーケターの皆さんも、ソーシャルメディアを通じたコミュニケーションを設計する上では、様々な視点から日本・海外のトレンド、ユーザー傾向をしっかり把握して取り組んでいただければと思います。

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この記事の著者

物延 秀(モノノベシュウ)

スパイスボックス 副社長。2006年スパイスボックス入社。プロデューサーとして大手企業のデジタル・コミュニケーションをワンストップで支援し、2012年以降はソーシャルメディアを中心とした「共感」と「話題」を生むコンテンツのプランニングとプロデュース、自社ソリューション開発を統括。2016年に事業統括責任者および執行役員に就任。2017年より現職。自社サービス:インフルエンサーマーケティング支援「TELLER」、コンテンツマーケティング支援「BRAND SHARE」、ROI分析プラットフォーム「THINK」、自社メディア:「newStory」自著:『新ヒットの方程式』~ソーシャルメディア時代は、「モノ」を売るな「共感」を売れ!~(宝島社)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/09/06 08:00 https://markezine.jp/article/detail/25096

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