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熾烈を極めるアプリ市場でいかに成果を出していくか、イグニス・セプテーニ・ヤフーが進める広告運用と戦略

豊富なインベントリから傾向を見出す細やかな分析

MZ:30~40代男性というターゲット設定は、はじめから狙っていたのですか。それとも、運用される中で見出されたのでしょうか。

小川:両方ですね。まず仮説を立てて、配信後に検証し、さらに最適化しています。仮説についてはイグニスさんから知見を得たり、議論したりしながら深めていきました。

高原:おそらく「ぼくとドラゴン」のゲームシステム的にガラケーでゲームを楽しんでいた人になじむはず。となると、親和性が高いのは30代前後の方だろうという仮説は当初から立てていました。ですが、こればかりは、実際にやってみての結果論です。

「ぼくとドラゴン」
「ぼくとドラゴン」

 弊社では、新しい広告を実施する際のハードルはとても低くて、新規メディアでも期待できそうなものはとりあえずやってみて、ダメだったら止めればいいじゃないかというくらい。先行者になるメリットを重視しています。その中で【配信面の性質とeCPMのバランス】【運用の許容度と透明性】【広告の在庫量・拡張性】などを見定めながら、注力するメディアを選んでいきます。特に何度か施策を行った後、翌月には獲得がなくなった……ということがないよう十分なインベントリは大切ですね。大きな予算を投じて施策に注力できる方が効率的なので、ヤフーさんはその意味でも魅力的ですね。

 実際、YDNは「ぼくとドラゴン」開始間もない頃から、1年以上途切れることなく継続出稿している唯一の広告サービスです。

井上:「誰に出すか?」と同様、「何を出すか?」というクリエイティブの検証についても同じことがいえますね。他媒体での全体的な反応を見ると、キャラクターの羅列や世界観の表現などが効果的ですが、実は30~40代男性に限定すると「特定キャラ」や「ガチャでの当たり」をアピールすると効果が高いのです。その気づきも実際にYDNに投下して検証した結果、見えてきたものでした。

安藤:セプテーニさんのクリエイティブの検証に対するリソースの投下量は、ヤフー側から見ても圧巻ですね。入稿されるクリエイティブは圧倒的に多いし、入れ替えも頻繁。常に細やかに効果検証をされているのがよくわかります。私たちもその思いに応えられるよう、さまざまなリクエストに早く対応できるよう努力しています。

左:ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー 営業3部営業2 マネージャー 安藤祐一郎氏、右:同営業本部 営業3部営業2 足立秀次氏
左:ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー 営業3部営業2 マネージャー 安藤祐一郎氏
右:同営業本部 営業3部営業2 足立秀次氏

小川:セプテーニとしては運用商材が多様化する中で、付加価値を提供していく箇所は「クリエイティブ」だと考えています。将来的にはAIの台頭などでよりシステマティックな広告運用の時代が訪れるかもしれませんが、「人間の感情」を読み取り、理解できるのは人間。そこを加味した戦略設計やクリエイティブに強みを発揮していきたいと考えています。

足立:なるほど。また、イグニスさんが目標にしているLTVについても、セプテーニさんがしっかりと握っている点もさすがだと感じます。LTVという目標を共有した上で、施策としてどう設計するか。単に広告のパフォーマンスに一喜一憂するのではなく、施策のKPIとして何を見て、どう改善するかまでしっかりと理解されている印象がありますね。

次に打つべきはユーザーの感情に寄り添ったリテンション施策

MZ:現在の施策の結果を受け、YDNの広告配信について、次にどんなことに取り組もうとお考えですか。

高原:まず新規獲得について、基本的には配信面、ターゲティングごとのユーザーさんの事をより深く理解することに努め、クリエイティブも含めて可能な限りそれぞれのユーザーさんに寄り添った広告配信ができればと考えています。その過程でDMPの活用もしていきたいです。

 そして、かつてサービスを利用していただきながら止めてしまった方や、だんだん利用頻度が落ちている方に対しても、なんらかの働きかけをしていきたいですね。おそらく、こうしたリテンションのための施策は、新規獲得よりもより細やかに、気持ちに添ったメッセージや手法が必要になるでしょう。

 そのためのデータ活用には大いに期待したいところです。正直、海外のメディアさんに比べると日本ではまだまだデータ活用が遅れています。しかし、ヤフーさんには質・量ともに豊富なデータがあるので、データ活用を行った時にどのような効果が得られるのか。個人的にそのポテンシャルに大いに期待しています。

小川:セプテーニとしてもイグニスさんの要望に応えてDMPを活用した広告出稿を行うにあたり、まさに拡張配信やデータを活用したリテンションに取り組もうとしているところです。加えて、ユーザーさんのモチベーションに広告がどう影響していくかというのも、今後対応していくべきところだと考えています。

井上:現在のデータ活用としては、コンバージョンした人、興味を示さなかったと思われる人を広告配信の対象から外すということをしています。そうすることで、より必要としている人に出せるということになり、価値が高まりますからね。

高原:今後への期待という意味では、データと連携した動的な施策をリテンションでやりたいですね。

足立:その点はヤフーへの期待として、ひしひと実感しています。これまでは新規獲得、それもLTVの高い優良顧客候補の確保がヤフーへの期待としてありました。加えて今後は、データ連携型の動的なリテンションに取り組んでいきたいと考えています。

 例えば、これまではインストールした人には広告を出さないというのが定説でした。確かに「このゲームをやりませんか」という内容なら意味がないでしょう。しかし、現在人気のガチャや開催中のキャンペーンといった内容の訴求ならば、サービスを使わなくなってしまった人にも響く可能性がありますよね。サービスの使用状況によってコミュニケーションを設計できるようになれば、打ち手の考え方も変わってくるはずなので、ユーザーのプライバシーにも十分配慮しながらこういった施策を進めていければと思います。

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把握しにくいDL後のユーザー動向、分析データがカギに

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウマミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/09/29 10:00 https://markezine.jp/article/detail/25184

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