仕掛ける側だけに立ってはいけない
――デジタル上のコミュニケーションで意識していることはありますか。
日常的にデジタル上でコミュニケーションをすることがほとんどなので、あまりデジタルとその他で分けて考えることも少ないですね。ただ、一つ思うのは消費者、そしてネット民であり続けることは大事だということです。
デジタル上のコミュニケーションにおける大きなリスクに炎上があると思います。しかし、炎上はロジックだけでは語れないと思うんです。たとえば、過激な発言でも、言う人や伝え方によっては受け入れられて炎上しないケースもあれば、通常であればまっとうな発言なのに、タイミングや言い方の間違いで炎上することもある。つまり、炎上というのは様々な要素が偶然重なって起きるものだと思います。
では、どのようにして炎上を回避していけばいいのか。それは、受け手としてネット上のコミュニケーションを観察し続け、考えていくしかありません。炎上したコミュニケーションを分析していくと、この言い方なら受け入れられる/反感を買うなどが何となく見えてきます。それを踏まえて伝え方を考えるのが重要でしょう。
また、今流行っているサービスに触れること、純粋に楽しむことも大切にしています。時代の変化を完全にカバーすることは難しいですが、仕掛ける側の目線しか持っていないと、おもしろさが理解できなくなってくる。これらの姿勢は大事にしています。
――最後に、今後取り組んでみたいことを教えてください。
「みんなで遊べる」を軸に、広告やコンテンツに限らず柔軟に企画を考えたいです。これまで取り組んできたゲームと書籍以外にも、映画やアニメ、イベント、マンガなど取り組みたい分野は数多くあります。
たとえば、チョコレイトが展開している「6秒商店」は、映像の発想から逆算して商品を作り、バズったら実際に商品化するという、これまでの経験と仮説を盛り込んだ企画です。商品があり、偶然バズって売れるという順序ではなく、先に映像を出して反応が大きかったら商品を作る順にすると、理論上外れる確率が低くなるだろうと考えているんです。そのように新しい仕組みを作り出していきたいです。