SansanとSalesforceの使い分けは?
――SansanとSalesforceを組み合わせて使う企業は、今後増えてきそうですね。いちユーザー企業として、SansanではSalesforceをどう使い込んでいるのでしょうか。これから検討する企業にとって参考になりそうです。
秋津:Salesforceのお客様でもSansanで名刺を管理する企業は増えています。提供企業であるSansanがSalesforceとどう連携し、使い分けているか気になる人は多いのではないでしょうか。
久永:顧客情報を見るときはほぼSalesforceですね。単に連絡先を知りたい場合や、ターゲットアカウントとした法人の誰に会えているか、どんな接点があるかなど、営業活動に関わっていない人の情報を見る時はSansanを見ています。
秋津:接点情報はSansan、詳しい案件や契約の情報はSalesforceと使い分けているのですね。攻め先をターゲティングする場合は、どちらを使うのですか?
久永:顧客の誰に会えているか、全社でどんな接点があるのかなどの人脈情報や、顧客企業や人物に関するニュース、連絡先などはSansanを見ています。契約や案件の状況など、顧客を俯瞰した情報を見る時はSalesforceで見ることが多いですね。Sansanのターゲティングは人物と企業をクロスして行うのですが、企業属性情報はSalesforce側から見られるようになっているので、そのやり方が便利なのです。
秋津:その後の受注や売上など、KPIはSalesforceで分析をしていくという形ですね。
久永:KPIでは、獲得したリードが受注にどの程度貢献したかを重視しています。どんなにリードの数を増やしても受注につながらないと意味がありません。ですから、各部門が部門を横断した指標を持ち、PDCAを回しています。さらに、私たちのサービスは継続してもらうことが重要なので、1年で解約されるような場合は、受注のとり方が悪くないかを見直すようにしています。
より「リアルな顧客理解」の仕組み作りに向けて
――最後に、今後の展望をお聞かせください。
久永:実はSansanとSalesforceの二つを連携させる前は、人脈情報と案件情報が分類している状況でした。お客様の状況を正確に知るには、これら2つの情報が一元化されていることが必須であり、別のデータベースで管理していたポストセールスのデータも併せてSalesforceへ一元化を行ったのです。
データベースが別だった頃は、実際はコンタクトや契約があるお客様であるにもかかわらず、リードとして認識されているデータが残っていたのですが、一元化により、何らかの顧客接点をもっているデータはすべてSalesforceの取引先に紐づいている状態に変わりました。今後は売上や取引データと連携させ、よりお客様をリアルにかつ俯瞰的に把握できるような仕組みを作ることを目指していきたいと考えています。
田崎:先日2月中旬にインサイドセールス向けの新機能や、PardotのAI機能をリリースしました。こうしたアップデートも活用して、情報取得から契約締結までの一連の流れを強化していき、クライアント企業の成果をサポートしていきたいです。
秋津:2018年は営業が使うAIソリューションのリリースが中心でしたが、今年はPardotでもAI機能が充実する予定です。ただし、AIを活用するためにはAIが学習するためのデータがないとスタートラインに立てません。メールをクリックしたか、メールからどれだけ案件につながったかは今でも把握できますが、最終的にどれだけリピートにつながったかのインサイトを得るには、プロセス全体を学習するデータが必要です。もっと言うと、学習データは最新かつきれいなデータでなければ間違った学習をしてしまいます。
なので、AIを使い始めるためには、データを貯めることから取り組んでもらいたいと思います。そのために私たちパートナーがいるのですから、この二つの連携で「きれいな最新のデータ」を貯めるところから一緒にやっていきたいですね。