モノ・サービスの販売が「始まり」に
――本日は、SansanとSalesforceの連携ソリューションについてお伺いしていきます。まず始めに、BtoBマーケティングの現状と課題感を教えてください。
久永:モノ・サービスの提供形態がサブスクリプション型へ変化していることにより、モノ・サービスの販売は「終わり」ではなくて、「始まり」になりました。「いかに長く使い続けてもらうか」という視点が必要になったことから、近年「顧客体験(CX)」の向上が大きなテーマとなっています。これからは、「契約前からサービス提供後まで正確に顧客情報を把握し、その顧客の状況に合った体験を提供していく」ことが重要になってくるのではないでしょうか。
田崎:一貫した顧客体験を提供していくためには、「マーケティング」「営業」「カスタマーサポート」というように、部署毎で情報が切り離されていることが課題ですね。大事なのは、「お客様の欲しい情報を・欲しいタイミングで届けること」。そのためには、部署間の枠組みを超えた情報共有が必要になってくると思います。
秋津:今の話に加えて、BtoBのマーケティングは営業がクロージングしないと成果が見えないということもあり、メールのクリック数やCVR、イベントの来社数のようなシングルポイントのKPIで考えることが多いことも問題だと思います。「メールを送って、イベントに来てもらい、インサイドセールスがフォローし、案件化し、お客様になる」という一連のファネル、すべてのプロセスをつなげて考えていかないと、根本的な解決にはならないのではないでしょうか。
「すべての顧客接点」からの情報を正しく理解する
――では、一貫した顧客体験を実現するためには、どうすればよいのでしょうか?
久永:一人のお客様が複数チャネルで接点を持った際でも、「同じ企業の・同じ人物である」ことをきちんと把握することが重要だと考えており、当社は「顧客データHub」(2019年2月19日時点では、「SansanCI」という名称でサービスを提供)という顧客データの統合機能の提供を昨年より開始しました。この機能は、複数のシステムに分散する顧客データの名寄せ・共有を支援するサービスです。
たとえば、展示会にはプライベートのメールアドレスで申し込み、セミナーには会社のアドレスで申し込むなど、接点が違えば同じ人かどうかがわからなくなることがありますが、一貫した体験を提供するためには、すべての顧客接点の情報から「顧客の状況」を理解した上で、効果的なアクションを行うことが不可欠です。
田崎:私たちは営業支援の「Salesforce Sales Cloud」(以下、Sales Cloud)と、BtoBマーケティングの自動化を支援する「Pardot」という二つの製品を提供しており、名刺情報を含む顧客情報に加えて、「その人とどんな話をしたか」というような行動情報も管理しています。この二種類のデータに、「誰もがいつでもアクセスできる」ことが対応の一貫性につながるのではないでしょうか。
またBtoBの場合は、個人へのアプローチではなく、「法人」という人格に対してアプローチをしていくわけですから、「法人毎のデータ」と「法人を構成する個人のデータ」、その両方のマネジメントを実現することが重要です。それも、全部門が同じデータを見て、最新の情報を共有できるようにしなくてはなりません。
秋津:人、部署、案件のデータは毎日のようにアップデートされています。持っている情報を常に入力するとなると、手作業では大変です。すべてのデータを連携できるソリューションをうまく使い、人間は作業ではなく、アウトプットに集中すべきですね。