個人の名誉毀損を招く可能性も
あなたの自宅で使うスマート家電や自家用スマートカーなら、比較的プライベートな空間が想定されるので、どんな広告が配信されても大丈夫かもしれない。だが、Connected Transportation(コネクテッドな輸送手段) となると、きっと、話は別だろう。
Connected Transportationとは、コネクテッド飛行機、コネクテッドトレイン、コネクテッドバス、コネクテッドタクシー、コネクテッド空飛ぶタクシー、などだ。
コネクテッド飛行機は「Honeywell Connected Aircraft」の動画、コネクテッドトレインについては「Cisco Connected Rail」の1分動画を参照して欲しい。
コネクテッドバスは、ソフトバンク・ドライブの紹介動画「バスがまた、通るようになったから。」が、秀逸だ。コネクテッド空飛ぶタクシーは、TEDの「How autonomous flying taxis could change the way you travel」というプレゼンがわかりやすい。
たとえばコネクテッド飛行機の場合、成田からサンフランシスコに飛んでいるとき、旅客機の中のWi-Fiで、将来的にはネット同時配信で在京キー局の番組が流れるかもしれない。当然CM付きだ。
着陸2時間前からそこには、サンフランシスコでオススメの日本食レストランのCMが流れる。あるいは、Macy’s Union SquareのCMが流れ、「日本人観光客向けにアメリカのブランド品、キャンペーン中!」と訴求する。それを仮に電通であれば、現地の電通アメリカ支社が一手に引き受けてCM販売する。そんなイメージを目指しているとイスラエルで聞いた。
フライトの前日に自宅で、「カリフォルニアでは大麻が解禁されたみたいだし、試しに買って帰ろうかなぁ」(Gigazine)と、仮にあなたが、呟いたとする。
それを聞いていたスマートスピーカーが、仮にそのままその情報を広告配信へ勝手に利用し、フライト中のCMで「日本人観光客向けに大麻、初体験キャンペーン中!」とか出たら、マズイ。飛行機の座席のディスプレイは、隣の人にも見えかねないし、これまた、上司が座っているかもしれないし。
日本のテレビ局の広告考査は信頼できるので、こんなことはないと思うが、ネット広告の場合は、YouTubeなどであっても、ブランドを毀損するような不適切な配信が過去にも発生している。そのため現状のままでは、ブランド毀損と同様に、個人の名誉毀損のリスクがあると言われている。
コネクテッド・トレイン、コネクテッド・バスなどでも同じだ。座席前に、飛行機のようにディスプレイが設置され、小田急ロマンスカーなどのボックスシートで映像コンテンツを楽しむ可能性は十分にある。
しかしそれが公共的な「Connected Transportation」という空間であるために、仮にCMを流すとしたら今のようなネット広告の仕組みでは機能しないという話だ。
