2014年にMAを導入 しかし……
MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、クレストの事業内容について伺えますか?
永井:当社は1983年に創業した会社で、店舗向け看板の製造・取り付けから事業をスタートしました。現在は看板だけにとどまらず、店舗や商業施設などの屋内外広告やウィンドウディスプレイ、デジタルサイネージなどの事業も展開しています。単なるディスプレイの企画施工ではなく、デジタルとITを活用することで、レガシーマーケットのイノベーションを推し進めています。
永井:具体的には、カメラやビーコンなどを活用し、リアル店舗における顧客の行動トラッキングや、陳列の仕方による売上の影響度を測るといった事業を展開しています。
また、実際に自社でもリアル店舗を運営しています。2003年に買収した「IN NATURAL」というガーデニング店ですが、現在はライフスタイル雑貨や衣料も取り扱っており、こちらもITを活用したステップアップを目指しています。当社の企業理念は「レガシーマーケットイノベーション」なのですが、自社自身もデジタルを活用しながら新しい取り組みを進め、成長していくことを目指しています。
MZ:なるほど。そういった企業理念もあり、早くから営業やマーケティングにデジタルを取り入れてきたわけですね。
永井:そうですね。Sales Cloudは2011年から導入しており、2014年にはMAの導入も開始しています。当時は他社製のMAを導入したのですが、近年いくつか課題が目立つようになりました。そこで、社内ITシステムを統括する峯と共に、MAの再検討を始めたわけです。
既存MAにおける3つの課題
MZ:既存のMAに、どのような課題が浮上してきたのでしょうか?
峯:Sales Cloudが社内の基幹システムとして機能し始めるようになり、あらゆる情報の集約/統合が進みました。それにより、当時動いていた他社製のMAが徐々に使いにくくなってきたのです。具体的なエピソードはいくつかあるのですが、「MAとSales Cloudをシームレスに使えない」「UIが直感的にわかりづらい」「MA利用者の教育に時間がかかる」という3つの課題に分類できると思います。
峯:「シームレスに使えない」という点についてひとつ例を挙げると、Sales Cloudと他社MAはログイン画面を含めて別の異なるシステムでした。当社ではSales Cloudのキャンペーンを深く活用し、マーケティング施策ごとに分けて管理をしておりますが、個々の施策の成果について詳細な確認をする場合は実行プラットフォームであるMA側で確認しなければならず、それがオペレーション上の負担になっていたのです。
また、見込み顧客のWebアクセスを通知するアラートメールについても、直近のアクティビティについてはMAにログインしなければわからないことも課題でした。営業が直感的に「これは重要な通知だ」と把握しづらく、後回しにしてしまうケースが起きてしまっていたのです。
営業が数字を作っていくためにも、アラートメールは重要な役割を担っているのですが、実際の業務ではアラートメールが活躍しきれていなかった。どんなに苦労してMAでシナリオを設定しても、MAを使わない社員にはそれがわからないですし、内容もパッと見てわかるようなものではないため、現場もアラートメールをつい後回しにしてしまっていたのです。