「顧客データHub」機能による顧客データの関連づけ
こうした顧客データ活用における課題は、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」に追加するために開発していた、「顧客データHub」という自社の機能によって解決することができたという。
「顧客データHubでは、我々も一番の課題としていた、企業情報の名寄せを実現しました。仕組みとしては、単なるテキストマッチではなく、会社名や住所などいわゆる名刺に記載されている情報を判定元情報として、企業名や人物の同一判定を行います。こうした高度なロジックを搭載しているため、会社名の表記揺れや古い情報でも正しく同一の企業および人物であることが判定できます。我々が実現したかった、同一企業の情報を統合したいというニーズを叶えることができました」(里見氏)
また「顧客データHub」では、国税庁の法人番号、TDB企業コード、登記情報、産業分類などの属性情報も付与できる。これにより、これからアプローチすべき企業を洗い出す際に必要になってくる「属性情報」も紐づけることが可能だ。
同社ではこれらの機能を用い、「過去蓄積データ」と「新規獲得データ」の二つの仕組みを導入した。前者はMAやCRMツール環境に存在するすべてのレコードを「顧客データHub」で識別し、同一判定されたレコードがあれば国税庁から法人番号を取得、同一の法人番号を持つデータ同士を自動で関連づけるというもの。
そして後者は、MAに新規リードが作成されたら、「顧客データHub」で識別し、同一判定された企業があれば国税庁からその法人番号を取得。既存データに同一の法人番号を持つデータがあれば自動で関連づけ、なければ新しく法人を登録し関連づけるというものだ。
顧客データの統合で精度の高いマーケティングを実現
同社は「顧客データHub」をローンチする前に、まずは自社で先行導入を実施。その結果、大きなメリットを得られたという。
「自社で先行導入し、顧客データHubは大きな効果をもたらしてくれると確信できました。それまでは、保有していた人物データのうち、その担当者がどの企業に紐づくのかもわかりませんでした。それらを法人ときちんと紐づけることができ、有用な人物データが3.2倍にも増えました。これによる、ターゲット企業・人物に対するアプローチ対策を立てることができるようになりました」(里見氏)
里見氏は最後に、「これからのデジタルマーケティングは、いかに正確な顧客データを取得し、スピーディーにPDCAを回していけるかが鍵。顧客データマネジメントを人力で行うのは負荷が多いので、これからはテクノロジーの力を借りて、組織的に活用していってほしい」と延べ、セッションを締めた。