ユーザーの姿を細かい粒度で捉えられるようになった
――両方を活用することで、どのような分析やアウトプットが可能になっているのでしょうか?
吉田:これまでは自社サイトに来訪したユーザーを対象に、「20代の女性にはこんなコンテンツはどうか」といった粗い粒度のセグメントと打ち手に留まっていました。それが自社データとサードパーティーデータをつなぎ、サイト内だけでなくサイト外の行動、興味関心やキーワードを含めてAIが分析するようになったことで、人のバイアスが入らない科学的なアプローチが可能になりました。
たとえば、ターゲットやペルソナを作るとき、居住地が都心か地方か、男性か女性か、どれくらいの年代か、などをもとに凝り固まったイメージ像を持ってしまうことがあると思います。一方、アイソンのAIはそのようなデモグラに左右されないユーザー個々の興味関心など、思いもよらないセグメントも提案するので、こちらの仮説がぐっと具体的になってユーザー像が以前より見えるようになり、打ち手を考える幅が広がりました。
――仮説が具体的になる、というのは?
吉田:たとえば「5,000円以上の店を予約したことがある人」をセグメントすると、そのユーザー群の興味関心を追って「旅行好き」や「ブランドコスメ」などのキーワードがわかります。さらにそのセグメントと同じ行動を起こす可能性が高いユーザー群も生成でき、アクションした際の予測CVRまで表示されます。それらをアイコアで打ち手に転換すると、予測通りCVRが上がることが多いです。
各種のキーワードが、どのくらい強くセグメントに紐付いているかといった関連度もわかるので、それらも含めて想像ベースで模索していた以前と比べると、格段に細かい粒度でユーザーを捉えられるようになりました。
外部パートナー企業と協業する際の武器に
――ユーザーの姿が、よりクリアになったんですね。
長﨑:まさに、そうですね。これまでの自分たちの類推が合っていた場合は肌感に自信を持てますし、まったく違っていたときはやはり科学的なアプローチの力を感じます。言語化できていなかったユーザーの輪郭がつかめてきた手応えがありますし、新しい視点を与えてくれることが刺激にもなっています。
――2つのツールを導入して、最もよかったと思う点は?
長﨑:今お話ししたユーザー理解や数値上の成果、示唆を得られる点もそうですが、プロダクトとしての武器が増えたと思える点がいちばん大きいです。
「ヒトサラ」に限らず、当社のメディアでは様々な業種のパートナーと連携していますが、裏側では必ずデータ連携や活用の議論が発生します。そのとき、データ連携が容易で打ち手も多様なアイソンとアイコアがあると、実現の“絵”がとても描きやすい。それがプロダクトの強みになり、かつ交渉優位にもなるので、この可能性の広がりを今後のビジネスの推進力にしたいです。
――では今後の展望をうかがえますか?
吉田:直近では、広告プラットフォームとつないで外部広告配信を最適化すること、また導入予定のメール配信サービスとの連携を進めます。今の勢いを止めず、ユーザーと密にコミュニケーションを取りながら、技術的にも習熟していきたいです。
長﨑:今、「ヒトサラ」だけなく前述の「SAVOR JAPAN」にもアイコアとアイソンを導入しており、ウェディングメディア「ウエコレ」など他の自社メディアへも検討中です。共通ユーザーも一定数いるはずなので、メディア間の効果的な連携も図れればと思います。また、USEN-NEXT GROUP全体では相当量の顧客データベースがあるので、グループでの活用も考えてみたいですね。
プッシュ通知をブロックするユーザーをエンゲージする4つの方法
「ヒトサラ」ではプッシュ通知を巧みに活用して、クオリティの高い記事に読者を誘導してエンゲージメントを強化しています。プッシュ通知はこのように強力なチャネルですが、そのポテンシャルを活かすにはブロックしたユーザーを再度オプトインさせることが必要です。そのために有効なメソッドをご紹介します。