D2Cやサブスクの急速な発達に合わせ、通販ビジネスの戦略やあり方にも進化が求められている一方で、既存の手法から脱却できていない企業がいまだ多くある。本連載ではEC・通販ビジネスをアップデートできるノウハウを、アライドアーキテクツの村岡弥真人氏が「UGC」を軸に解説していく。第1回となる今回は、旧来のECとD2Cのマーケティングの違い、D2Cマーケティングの核となる戦略的UGC活用を紐解く。
顕在化し始めたEC事業の課題
EC市場はGDPが停滞する国内経済の中にあっても、市場規模が前年比8.9%増加しており、加えてBtoC-ECの物販系分野におけるEC化率がまだ6.2%と伸びしろが大きい成長市場といえる状況です。また、新型コロナウイルス禍で余儀なくされた巣ごもり消費の影響で、今後のEC拡大に期待が集まり始めています。
『平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)』,平成31年5月,p.7
しかし、デジタル広告の効率向上を突き詰め、顧客獲得単価を引き下げる、いわゆるダイレクトマーケティングを中心に高成果を追い求め続けてきた既存のEC事業者の多くは、近年新規顧客の獲得効率の低迷に悩まされ始めています。なぜなら、ECを取り巻く環境では2つの大きな変化が起きているからです。
ECを取り巻く環境における2つの変化
一つ目の変化は、「デジタル広告の媒体環境の変化」です。テクノロジーの進化とデジタルメディアの台頭によって爆発的に増加したデジタル広告ですが、2016年あたりからSNSを中心とした主要媒体のCPMは高騰し続けており、獲得効率の改善が難しくなってきています。さらに広告媒体の広告表現規制や一般生活者のアンチネット広告の流れから増加しているアドブロック、ユーザーデータの健全利用を目指したCookie使用制限などで、従来効率の良かった広告表現が使えなくなったり、出稿可能な媒体が限られてしまったりと、広告効果の伸び悩みや改善施策の頭打ちが顕著になってきているのです。
もう一つの変化は、「人々の消費行動の変化」です。生活者はスマートフォンとSNSによって、大量の情報にさらされ、選択肢が多すぎる状態になっているため、これまでの広告のような機能性や価格の魅力を伝えるキーワードだけでは、心が動きづらくなっています。「役に立つ」機能価値以上に、自分にとって「意味のある」情緒価値が選ばれるようになってきている今、その商品を選ぶ理由になりうる「ストーリー」と、購入直後から購入後にも続く「商品体験」の重要性が増しているのです。
これからのECは、こうした2つの大きな変化の中で新規顧客の獲得効率を改善し続けることに限界があります。そのため、既存顧客のLTV(顧客生涯価値)の向上を目指して、商品体験を創出し、顧客に価値を提供し続け、長期的な関係性の構築に向けて投資することが事業成長の重要な要素となります。

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村岡 弥真人(ムラオカ ヤマト)
大手ガラスメーカーを勤務を経て2012年にアライドアーキテクツ入社。2014年よりSNS広告に特化した広告代理事業を立ち上げ、自社最大の事業まで事業拡大を行う。2016年にUGC Centric Creative Platform "Letro"の提供を開始、Facebook及びInstagramのオフィシャルパー...
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