会えない人に想いを伝える「#ツイートラブレター」
──始めに、「#ツイートラブレター」の取り組みについて、教えてください。
北野:#ツイートラブレターとは、友達や家族へ普段は伝えづらい感謝の気持ちを、#ツイートラブレターをつけてツイートする企画です。コロナ禍において外出自粛のお願いが出され、多くの方たちが、会いたい人に会うのを控えていました。そのような中、浦和レッズの長澤選手と話す機会があり「サッカー選手として何かできないか?」という相談をいただき、#ツイートラブレターが生まれたのです。
長澤:サッカー選手の僕がやるべきことは、ピッチ上のプレーを通して、子どもたちやサポーター、ファンへ、夢や希望を与えることです。ですが、新型コロナウイルスの影響でJリーグも試合延期の判断がなされ、さらにトレーニングや練習もできない日々が続いていました。だからといって、試合がなければ何もできないわけではありません。スポーツの喜びや感動を伝えることで、スポーツが日常にある文化を育み、豊かな地域を創っていくという浦和レッズの理念に立ち戻り、クラブとして地域社会へ貢献しなければと考えていたのです。
リアルに代わるコミュニケーション作りのきっかけに
──長澤選手と北野さんが、#ツイートラブレターを考案されたんですね。では、浦和レッズ広報の松本さんは、この話を聞いて、どのように思われましたか。
松本:リアルの場に代わる、新しいコミュニケーションの形だと思いました。これまでデジタルは、試合を起点とした情報発信や、試合会場でのコミュニケーションなど、リアルな場で生まれる感動や感情をフォローする存在でした。
松本:しかしコロナ禍では、リアルの場がありません。サッカークラブには、ファンやサポーターだけでなく、ホームタウンやパートナー企業の皆さんなど、あらゆるステークホルダーの方たちがいらっしゃいます。皆さんとの関係を深めるためにも、リアルな場と同等、もしくは違った形のコミュニケーションをデジタルで作らなければなりません。#ツイートラブレターは、そのきっかけになったのではないかと感じています。
サッカー界の外にも広がる
──それでは、#ツイートラブレターがどのようにスタートしたのか教えてください。
北野:#ツイートラブレターは、4月26日に、長澤選手がご自身のお母様へ宛てたツイートから始まりました。このとき、「#ツイートラブレターをつけて普段は言えない想いをこのタイミングで大切な誰かに届けてみませんか?」と呼びかけていただいています。
#ツイートラブレター
— 長澤和輝 (@nagasaman1216) April 26, 2020
GWに会えない誰かに想いを伝えるこの企画。僕は母親へ。
普段は言わないけど、連戦のGWに1人でもアウェイでも僕が出なくても、応援に来てくれる。ありがとう。今は家で無理せず体を大切に、これからもずっと長生きしてね。
大事な人に会えない今だからラブレターを送ってみては pic.twitter.com/eolunZCHpu
長澤:多くの方に届けられただけでなく、より一人ひとりへ想いが伝わったと感じます。サポーターから、「辛い状況の中でも頑張ります」「Jリーグ再開へ向けて僕たちもステイホームします」など、多くの言葉をいただきましたし、嬉しかったです。
──#ツイートラブレターは、長澤選手や浦和レッズの選手だけでなく、他のクラブの選手や、サッカー以外のスポーツ関係者と、様々な人たちの間で広がっていますね。
北野:Twitterは会話をするプラットフォームですから、スポーツ選手のようなパブリックなアカウントが「こんなことしませんか?」と提案するのは、珍しいことです。長澤選手はデジタルネイティブ世代で、ソーシャルメディアの使い方に慣れていますし、Twitterの新しい関わり方だと感じました。