Salesforce定着化のための“ジャーニーマップ”を描く
ヒアリングで重視したのは、1on1をするときにどのようなシナリオとトークでマネージャーたちに話をし、定着させていくのかPDCAを回すこと。定着化担当と日々トークをブラッシュアップさせながら1on1を行ったという。
「社外の顧客やユーザーにマーケティング活動を行うときとまったく同じことを、社内に対しても行いました。どう伝えたらマネージャーたちが興味・関心を持ってアクションしてくれるかジャーニーを作っておくことが重要です」(原田氏)
2回、3回と1on1を繰り返す中で、彼らから営業戦略の立案にSalesforceを活用しているという言葉が出始め、長期的な目線で営業戦略を立てるマネージャーが増えてきた手応えを感じたという。
「目標件数を達成するためにはどれぐらいの商談が必要で、そのためにはどの顧客にどのようにアプローチする必要があるのかなど、中長期的に数字を組み立てられるマネージャーが増えてきたように感じました」(原田氏)
こうした活動の結果、現在は85%以上のマネージャーが、Salesforceを日常的な営業戦略策定や商談管理に“活用”するようになった。事前にデジタルシフトが完了していたおかげもあり、コロナ禍では展示会にかけていたリソースをウェビナーやメールマガジンなどへスムーズに移行することに成功。コロナ禍における営業からのコンテンツマーケティングのオーダーは約3倍に増えているという。
Salesforce定着化に必要な体制を構築する
こうしたツールの社内浸透に重要なことは何か、と改めて原田氏に聞くと、次のように話した。
「営業やマネージャーなど、ツールを使う人に寄り添うことです。決して、使う自体を目的にしたり、マーケター側の都合を押し付けないこと。それから、定着化活動の体制構築も重要です。全体の戦略を考える私のような立場と、必要な機能を実装するエンジニア、そして社内の定着化活動をする人。この3つの役割を分業することが重要だと思います」(原田氏)
全拠点への浸透はまだ道半ばだと原田氏はいうが、確実にサトーの営業活動に変化が訪れている。「営業メンバーの行動が変われば、こちらに聞こえてくる言葉も変わります。その変化が少しずつ見えてきています。これからは蓄積するデータの質をより高めたいですね」と原田氏は力強く答えた。
サトーの場合、リテール、製造業、飲食業とターゲット業種が多岐にわたり、それぞれに提案するソリューションも配信するコンテンツもまったく異なる。業種ごとのシナリオ設計と、的確なコンテンツの出し分けが、ホットリード獲得のために欠かせないと原田氏は考えている。
今後は消耗品活用支援のカスタマーサクセスやアフターフォロー、グローバルなセールス活動などにもSalesforceを活用し、さらに事業へ貢献しようと意欲を燃やしている。