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広告もアイデアに。Pinterestが“ユーザー軸”で見据える、次の一手

 ビジュアル探索ツール「Pinterest(ピンタレスト)」。日本でも全世代でユーザー数を拡大し、現在MAU(月間利用者数)は870万人を超えている。2021年10月にはアマゾンジャパンなどで広告事業に携わってきた成田敬氏がカントリーマネージャーに就任し、2022年から広告事業を本格化させることを発表している。成田氏に、Pinterestの歩みと広告事業の強みについて話を聞いた。

※本記事は、2022年1月25日刊行の定期誌『MarkeZine』73号に掲載したものです。

アイデアを発見するビジュアル“探索”ツール

Pinterest Japan カントリーマネージャー 成田 敬(なりた・けい)氏

 1997年三井物産入社。同社情報産業本部にてインターネット・メディア関連の新規事業開発、事業投資、関係会社支援業務に従事。2008年にAOLの広告事業会社であるアドバタイジングドットコム・ジャパンに入社。同社COOとして、アドネットワーク、DSP/SSP、動画広告各事業の広告・媒体営業、事業開発、プロダクト開発を統括。2014年11月にアマゾンジャパンに入社。Amazon Advertising(広告事業本部)の営業統括部長として広告主向けの営業を統括。2017年3月に代理店事業本部長に就任し、大手広告代理店とのパートナー戦略の立案・実行、及びAmazonのプログラマティック広告事業を主導。2021年10月にPinterest Japanのカントリーマネージャーに就任。日本市場における同社広告ビジネスの立ち上げ、事業拡大を主導。アドテック東京のアドバイザリーボードメンバーも務める。

――Pinterestは2013年に日本でサービスを開始し、今年で9年目を迎えます。まず利用者数や利用者層など、最新動向を教えてください。

 Pinterestは、生活のあらゆるシーンを彩るアイデアを、画像や動画で発見できるビジュアル探索ツールです。現在、MAU(月間利用者数)は全世界で4億人を超えており、そのうち25%が米国ユーザー、残りの75%が米国以外のユーザーという割合です(2022年1月時点)。

 国別の詳細なユーザー数は公開しておりませんが、ニールセンの発表によると、日本におけるMAUは870万人を超えており、ユーザー数の急激な拡大を受け、Pinterest社としても、日本は注力ビジネスエリアのひとつとなっています。

 サービス開始当初は、「家の建て替え」「リフォーム」などのライフイベントを含めた大きなプロジェクトの検索に使われていましたが、昨今では「ファッション」「ビューティ」「インテリア」「フード」が人気カテゴリーになるなど、日常の身近なアイデアを探しに来るユーザーが増えています。また元々は女性ユーザーが多かったのですが、カテゴリーが広がったことで、男性やZ世代などの利用も増え、現在では性別・世代関係なく幅広いユーザー層にご利用いただいております。

PinterestはSNSではない

――画像や動画をメインコンテンツとしたSNSも増えてきておりますが、それらと比較するとどんな違いがありますか。

 SNSプラットフォームと比較されることが多いのですが、Pinterestは“ビジュアル探索ツール”であり、SNSとは明確な違いがあります。

 SNSは、過去あるいは現在起きていることや、自分の意見・考えを、“人と人とのつながり”の中で発信していくものです。対してPinterestは、ユーザー個々人が、画像や動画から生活に役立つアイデアを探したり、インスピレーションを得たり、“自分の生活を豊かにするために”使っています。そこがSNSとの大きな違いです。

 また検索ではなく「探索」と呼んでいるように、Pinterestが提供するのは従来の“答え”を見つける検索体験ではなく、様々な画像から“新たな興味”に出会える探索体験です。

 他者からの評価(いいねやシェアなど)ではなく、主観的に情報を探していくため、Pinterestユーザーには情報収集意欲の高い方が多く、かつ行動意欲も高いため、アイデアを見つけたあとは実際にアクションに移すユーザーが多いのも特徴です。

――アクションに移すとは、具体的にはどんな行動を取る方がいらっしゃるのでしょうか?

 Pinterestでは気に入った画像や動画のピンを自分のアカウントに保存することができるのですが、たとえば保存したピンを見て実際にレシピを試してみたり、髪型を変えてみたり、模様替えをしたりといった使われ方がされています。またPinterestにはショッピング機能もついているため、購買行動というアクションも生まれています。

一貫した思いとパンデミックを経た変化

――成田さんは2021年10月に、Pinterest Japanのカントリーマネージャーに就任されました。前職ではアマゾンの代理店事業本部長を務められていましたが、これまでのキャリアにおいて、どういった考え方を大事にしてこられたのでしょうか?

 私は社会人になってからの25年間、一貫してテクノロジーの業界に携わってきました。いくつかの会社を経てきましたが、キャリアにおいては、2つのことを変わらず大切にしてきました。

 ひとつは、テクノロジーの力によって生活者、あるいはビジネスをより豊かにする手助けをすること。もうひとつは、ミッションやビジョンに心から共感できる企業に所属し、自分自身もその価値観を体現していくこと。この2つを日々の仕事、またキャリアを選択する際には重視してきました。

 この2つは今でも変わらず軸としてあるのですが、一方で価値観を大きく変える出来事が起きました。それがパンデミックです。

 パンデミックは社会環境を大きく変え、私たちの生活に大きな変化をもたらしました。特に緊急事態宣言が出た際には、生活がガラリと変わり、これから先一体どうなってしまうのだろうかと、不安に思う方が多かったと思います。

 しかし、そんな制限された環境の中でも、ちょっとしたアイデアや工夫によって日々の生活をポジティブに変えていこうとする動きが見られ始めたのも、この2年の印象深い出来事です。リモートワーク環境を良くしたり、ステイホームを楽しむ工夫をしたりする人たちの姿から、どんなときでも後ろ向きにならず、前向きになることの大事さを強く感じました。

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

1993年生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。Web記事に加え、定期購読誌『MarkeZine』の企画・制作、イベント『MarkeZine Day』の企画も担当。最近はSDGsに関する取り組みに注目しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/01/25 06:30 https://markezine.jp/article/detail/38142

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