テストマーケティングとしての利用も拡大
——今までインターネット販売をしてこなかった企業が、まずは「Makuake」でチャレンジしてみるというケースが多いのですね。
坊垣:そうですね。一方で、これまでインターネット販売を行ってきた企業から、新商品発売の場として選んでいただけるケースも増えました。というのも、コロナ禍においてEC利用者は増えましたが、同時にECを利用する企業も急増したため、企業としては競合が増えた状況でもあるのです。そんな中で新商品を見つけて買っていただくというのは、なかなか大変なことです。
「Makuake」は新商品・新サービスが集まる場ですので、新しいもの好きな良質なユーザーがたくさん集まってきます。数字でいうと、月間約3,000万人の方がサイトに訪れてくれています。そのため、最初のプロモーションの場として選んでくださる事業者さんも増えていますね。
——商品を売る場というより、プロモーションの場として捉えている企業も多いということでしょうか?
坊垣:はい、非常に多いと思います。あとはテストマーケティングの場としてご活用いただくケースも多いですね。
「Makuake」は基本的に2〜3ヵ月でプロジェクト(掲載)が終わるのでスタートとして手掛けやすいですし、「Makuakeで売れたか、売れなかったか」というのも数字として世の中に公表されるので、それを実績として活用することもできます。売上が好調であれば、正式に商品化が決まったり、共同開発の話が来たりと、次のステップにつながりやすくなりますし、売れなかったら売れなかったで「これは何かを変えないといけないね」と商品・サービスの改善につなげることができます。
「Makuake」ではどんなユーザーが購入したかというデータを取っており、また購入者は応援コメントも書くことができるので、それらを見ながら「想定したターゲットと実際の購入者層が異なる」「自分たちが思っていたのとは別のところが評価されている」といったことを振り返ることができます。「売れなかった」で終わらず、次に活かすことができるのが「Makuake」の大きな特徴でもあるのです。
「クラウドファンディング」から「応援購入」サービスへ
——「Makuake」は2019年12月のマザーズ上場にあわせて「クラウドファンディングサービス」からアタラシイものや体験の「応援購入サービス」へとリブランディングを行われています。こちらの意図についても教えていただけますか?
坊垣:そもそもはクラウドファンディングのプラットフォームとしてスタートしたのですが、「Makuake」において提供している価値、提供している体験が“世の中のクラウドファンディング”のイメージとかなりずれている実感があり、課題に感じていました。
日本におけるクラウドファンディングは、東日本大震災をきっかけに始まったので「寄付サイト」や「活動支援」というイメージが根強くあります。しかし世界的にはクラウドファンディングというビジネスモデルは、新しいものが先行販売される“新しいものづくりの登竜門”としての使われ方が主流となっています。
日本でもそういった使われ方がしても良いのではないかと思っていましたし、そこをフォローアップできる場所として「Makuake」というサービスを発展させてきた歴史もあるので、実際に私達が目指している、提供したいと思っている体験を「応援購入」と名付け、応援購入サイトとしてリブランディングしていこうと考えたのが上場時の流れです。
——事業者やユーザーからはリブランディングへどんな反応がありましたか?
坊垣:既に「Makuake」を利用してくださっていた方々からは、「まぁ、そうだよね」という感じでしたね。どちらかというと、「なるほど、そうなんだ」と新しい気付きがあったのは、これまで利用していなかった方々だったのではないでしょうか。それこそ、メディアの方々からは「応援購入とは? クラウドファンディングとの違いは?」とたくさん質問いただきましたね。