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特集:サブスクリプションの現在地

サブスクモデルが急成長!ダイヤモンド・山口編集長に聞く、メディアの有料モデルを成功させる秘訣

「ここでしか読めない」コンテンツであれば有料でも読まれる

──開始から2年半、「ダイヤモンド・プレミアム」の手応えはいかがでしょうか? これまでデジタルコンテンツ=「無料」というのが長らく当たり前だったことから、オンラインメディアで有料会員を獲得していくのはなかなか難しいところでもあると思うのですが……。

山口:有料会員数は、今のところ極めて順調に伸びています。「週刊ダイヤモンド」は28年連続でビジネス週刊誌の市販売上1位を継続しているのですが、実は昨年後半に、この「週刊ダイヤモンド」の市販部数を、デジタルサブスクの有料会員数が上回りました

 有料化に苦戦するメディアの声も確かに耳にしますが、「ここでしか読めない」独自性のあるコンテンツ、独自性のあるパッケージングを、読者の求める形で配信することができれば、有料でも記事は読まれます。サブスクでは現在、1週間以上にわたって連続配信される特集が中核コンテンツになっていますが、1月末に「セブンDX敗戦」特集が配信された週は、配信3日間で有料会員の獲得数が1,000人を超えました。

 もちろん特集ごとで会員の獲得数に波はありますが、「オンラインメディアで有料会員は取れない」という指摘は、錯覚だと思っています。ここでしか読めない高い独自性を打ち出すことができれば、有料課金の壁は越えられます。「週刊ダイヤモンド」が28年間連続で市販売上No.1を取れているのは、そもそもそういったコンテンツだからです。打ち出す場所がデジタル上になってもそれは変わりません。むしろデジタル上では「どこかで見たことがある」コンテンツが氾濫しているため、より独自性が重要になると言えます。検索したら出てきてしまうコンテンツに、誰もお金は出してくれません。

広告ビジネスとサブスクは両立するのか?

──「ダイヤモンド・オンライン」はこれまで広告収入がメインだったと思いますが、サブスクを開始したことで、広告ビジネスに影響は起きていないのでしょうか?

山口:有料コンテンツに力を入れることで、PVが落ちるなど、広告ビジネスに影響があるのではないかという懸念はもちろんありました。しかし結論から先に述べると、有料会員とPVどちらも順調に伸びています。

 実は、2つの編集部を統合後、PVをKPIとして追うことを止めました。PVは広告収入に換金されていくため重要な要素ではありますが、それ自体を編集部の目標にしてしまうと、どうしても芸能ネタなどPVを取りやすいコンテンツが増えてしまい、本来我々が目指す“ビジネスパーソンのためになるメディア”からは離れてしまいます。そのためPVを「副産物」として捉えて、ターゲット層にきちんと刺さる記事を増やし、会員数を増やしていこうというKPIに変えたのです。

 コンテンツの質を高めていった結果、有料会員数、つまりサブスクによる販売収入は、順調に伸びてきています。またダイヤモンド・オンライン上でビジネスパーソン向けの質の高いコンテンツを増やしたことで、無料会員も劇的に増えていき、足元で80万人を超えています。ビジネスパーソン向けのコンテンツによって獲得したこの80万人の無料会員は、有料会員につながる良質な潜在読者であり、ビジネスパーソン向けの広告コンテンツに反応してくれる良質な読者層でもあります。つまり、PV重視のコンテンツから脱却した結果、販売収入と広告収入、どちらにも良い影響を与える大切な会員基盤が育ってきているということです。

 一方で、KPIに置くのを止めたことでPVは下がったのかというと、そうはならず、PVもサブスクをローンチしてからも順調に伸びています。サブスクを始める前は月間6,000〜7,000万PVだったのが、現在は1億PVを超えています。

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タブーなしで新しいメディアづくりにまい進

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

MarkeZine副編集長。1993年生まれ、島根県出身。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/02/28 06:30 https://markezine.jp/article/detail/38361

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