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特集:サブスクリプションの現在地

サブスクモデルが急成長!ダイヤモンド・山口編集長に聞く、メディアの有料モデルを成功させる秘訣

タブーなしで新しいメディアづくりにまい進

──好調の要因を、どのようにお考えですか?

山口:すべては記者、編集者をはじめとしたダイヤモンド編集部の皆の奮闘と挑戦があればこそです。編集部の働き方はこの3年近くで根本から変わりました。その激烈な変化に対して、前向きに柔軟に粘り強く対応してくれた皆の試行錯誤がなければ、生まれ変わることはできませんでした。これまでの業界の常識にとらわれず、タブーなしで新しいメディアづくりにまい進してくれたことが何より大きかったです。

 タブーなしという点では、デジタルの世界で突き抜けるため、2022年度から編集部の編集体制をタブーなしで改革して、雑誌づくりのあり方を抜本的に作り変えます。具体的には、原則として編集部の部員が紙の雑誌制作に関わるのを止めて、デジタルサブスクのコンテンツづくりに専念してもらいます。

 じゃあ雑誌はどうするのかという話になると思いますが、コンテンツは既にデジタルファーストで配信されていて、雑誌はこれを再編集するわけです。そうなると、雑誌のほうはキュレーションがより重要になります。デジタルで展開したコンテンツのうち、何をどう雑誌に再編集するか、これには取材という最も重い作業は入らないため、実は人数は必要ありません。必要なのはノウハウとセンスなので、経験豊富な少人数の手練の部隊を立ち上げて、よりクオリティの高い雑誌づくりを目指していきます。

 編集部以外にも要因があります。1つは、会社としてオーディエンス開発部を立ち上げたこと。データ分析に長けたデジタル人材を複数採用したことで、データに基づいたコンテンツ戦略を描けるようになりました。こうしたデータ分析のプロフェッショナルと日々議論できることは編集部の大きな強みとなっています。あわせてCTO(最高技術責任者)室を創設し、これまで社外に依存していたサイト改善などの開発案件をユーザー目線で機動的に進める体制が整ってきたことも大きいと思います。

サブスクには「非連続的な成長」が不可欠

──最後に、デジタル転換を目指すメディア企業にアドバイスをお願いします。

山口:まず会社としてトップが覚悟を持てるかどうかは非常に重要な点であると考えています。ビジネスモデルの転換を行う際には、「イノベーションのジレンマ」が起きがちです。「今収益が上がっているものを失ってしまうかもしれない」という懸念から、大きな決断ができないという話はメディア業界でもよく聞くところです。その際、デジタル転換は「正しい道である」とトップが発信してくれると、現場も覚悟を持って進めていくことができます。

 またサブスクモデルはどんどん速くなるルームランナーを走り続けるようなものです。はじめは会員数がどんどん伸びていきますが、会員の総数が増えると、1日当たりの解約数も当然増えていきます。一方で1日当たりの会員獲得数はそう簡単には増やせないので、このまま継続していくと、1日当たりの解約数が獲得数を上回る日がきて、成長が止まります。これを乗り越えるには、新たなブースターによる「非連続的な成長」が不可欠です。

 いずれその日が来ることはわかっています。そのため、成功事例ができても安心してそれに寄りかかるのではなく、非連続的な成長を生み出すために、常に変わり続ける姿勢を持ちたいと考えています。

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

MarkeZine副編集長。1993年生まれ、島根県出身。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/02/28 06:30 https://markezine.jp/article/detail/38361

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