SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

Z世代社会投資家の中村多伽×MERY斉田裕之が対談「Z世代は本当にSDGs消費をするのか?」

 Z世代の意識調査で、よくトピックスに上がるのが「SDGsへの関心の高さ」だ。なぜ、Z世代はSDGsへの関心が高いのか? また、Z世代に「SDGs消費」を促すアプローチは有効なのか? 本稿では、MERYでZ世代研究所の所長を務める斉田裕之氏と、社会課題の解決にビジネスで取り組むプレーヤーを支援するtalikiを立ち上げ、若き社会起業家として活躍する中村多伽氏が対談。「Z世代は本当にSDGs消費をするのか?」をテーマに、「Z世代×SDGs消費」を紐解いた。

大学生で起業「社会課題に向き合うプレーヤーを増やしたい」

斉田:マーケティング、広告の業界でも「SDGs」はビッグワードになっており、今後「SDGs消費」は大きなテーマになってくるはずです。2021年にMERYユーザーに対し行った調査では、「約9割の回答者がSDGsに興味があり、取り組みたいと思っている」と回答。また、MERYユーザーを「20代社会人(20~29歳)」と「2023年3月卒業予定の大学生・大学院生」で分けてみると、後者のほうがSDGsへの認知度が高いことが明らかになりました。

【アタリ】大きい画像があれば差し替えます
【出典】MERY Z世代研究所
MERY Z世代研究所とは:メディア「MERY」事業における記事や各SNSをはじめ、有料コミュニティ「MERY&」のメンバーなどリアルなZ世代との接点からインサイトを抽出し、企業やメディアに対して研究内容を発信している

 こうしたデータや昨今の潮流を踏まえ、これから「Z世代×SDGs消費」は非常に注目されるテーマになっていくと私は見ています。そこで今日は、「Z世代は本当にSDGs消費をするのか?」という問いを立ててみました。taliki(タリキ)代表の中村さんと一緒に、SDGs消費を促す際のヒントを探っていきたいと思います。まずは、中村さんの自己紹介からお願いできますか?

中村:talikiの代表取締役 CEOの中村です。talikiは2017年、大学生の時に立ち上げました。talikiでは社会課題の解決にビジネスで取り組むプレーヤーを支援しており、具体的には、ビジネス立ち上げ時の伴走および投資、後に大手企業との連携を促すオープンイノベーションの事業を展開しています。

株式会社taliki 代表取締役CEO 中村多伽氏
株式会社taliki 代表取締役CEO 中村多伽氏

斉田:もともと中村さんがソーシャルビジネスに興味を持ったきっかけは何だったんですか? 投資ファンド事業を始められるまでの経緯を教えてください。

中村:最初は、カンボジアに小学校を建設するプロジェクトを始めたのがきっかけでした。当初は“社会課題の解決”なんてたいそうな思いがあったわけではなく、就活に有利になりそうだし、国際協力とかカッコイイし、何より大学入学後に目標を見失っていたので、これはちょうどいい機会だと思って、すごくライトな感じで始めたんです。

 そうして実際に現地に行って活動をしてみると、「社会課題というものに対する人々の意識の距離の遠さ」をまず実感しました。物理的には意外と近いところにあるんだけど、意識の距離のほうが遠いんです。また、社会課題の解決にリソースを流すこと、活動を持続することがいかに難しいかを痛感し、「行政や経済発展など構造的なところから解決しないといけない。草の根の活動だけをしていくのでは不十分かもしれない」と考えて、ニューヨークに留学しました。

斉田:そうだったんですね。ニューヨークでは何を?

中村:当時はちょうどトランプ氏とヒラリー・クリントン氏の大統領選が行われていた時だったので、ビジネススクールに通いながら、報道局でインターンをするという経験をしました。大きいセクターのほうが社会課題を解決できるのではないか? という仮説を持ってニューヨークに行ったわけですが、アメリカ政府、国連本部などにも取材で携わる機会がある中で、自分の仮説が外れていたことに気づきます。

 たとえば、メキシコに壁を作っても、移民問題の当事者を取り巻く様々な問題は何も解決しない、ということがわかってしまったんですね。大きいセクターにいれば社会課題の解決に近づけるのではないかと思っていたんですが、実際は全然そんなことはなく、社会課題に向き合うプレーヤーや事業の絶対数が増えないと、そしてそれぞれが育たないといけない、ということを改めて認識して。それならば、自分はそれを促す側になろうということで、talikiという会社を作りました。

インセンティブを付与して、人が動く仕組みを作るのは事業者の役割

斉田:そんなストーリーがあったんですね。社会課題は、ビジネス側から解決を図るべき部分もあれば、生活者の日々の行動で図られる部分もあります。「社会課題の解決は大切だよね」と言いながら、実際の行動は伴っていない人々がまだまだ多いのが現実ですが、こういう現状を見て中村さんはどんなことを思われるんですか? 長年、ソーシャルビジネスをやられている立場からすると、残念な気持ちになるんでしょうか?

株式会社MERY 執行役員 CBO(チーフブランドオフィサー)/クリエイティブディレクター 斉田裕之氏
株式会社MERY 執行役員 CBO(チーフブランドオフィサー)/クリエイティブディレクター 斉田裕之氏

中村:いえいえ。そもそも、今日まで様々な社会課題が解決に至っていないのは、「しなきゃいけない」で人間は動かないからだと思います。だから、「なぜわかってくれないの?」「みんなでやらなきゃいけないんだよ」というようなコミュニケーションを見ると、それだけでは不十分だなと、私は思ってしまいますね。

 そうではなく、インセンティブによって人が動くという仕組みを、事業者側が作らないといけない。もちろん、社会から呼びかけてみんなが問題に向き合うのが一番いいのですが、そうはならないのが人間の性です。ですので、斉田さんの質問にお応えすると、「まだまだこちら側がインセンティブを付与できていないんだな」という気持ちになりますね。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
多くの社会起業家がすでに「エシカル推し」の失敗を経験

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2022/07/01 09:00 https://markezine.jp/article/detail/39186

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング