最初から視聴数を狙い過ぎるのはNG
小林:配信後のアーカイブ視聴数も無視できません。ライブを観た後にアーカイブでもう1度確認したいユーザーはロイヤルティが相当高いと言えますし「ライブは見逃がしたものの、アーカイブは観たい」というユーザーも、今後の“ライブ視聴者予備軍”と捉えてアプローチすべきです。離脱率、視聴時間、視聴完了率、コメント、アーカイブ視聴数まで見て、ここでやっと「視聴数」に目を向けるべきではないでしょうか。
武者:「視聴数の減少」も、場合によってはポジと捉えられますよね。たとえば800人の視聴者が途中で200人まで減ったとしても、商品を購入するために離脱している可能性があるからです。「買ったらまた戻ってきてね」「買った商品を報告してね」という呼びかけもプレーヤーのスキルの1つ。大事なのは、視聴数にとらわれ過ぎないことです。
小林:最初から視聴数やカート誘導率、LP滞在率、CVRなどの指標を狙い過ぎると長続きしません。視聴完了率が高い配信やコメントの質が高い配信は、自ずと視聴数も増えていくんです。当社のクライアントの中には、半年~1年間地道に継続した結果50~100倍の効果が出ているところもざらにあります。
ライブコマースを「第3の場所」と捉えよ
MZ:2022年に企業がライブコマースを取り入れる際のポイントを教えてください。
武者:2017~2018年のライブコマースは「中国で流行っているやり方をそのままトレースすれば売れるのでは?」という希望的観測のもと始まりました。しかしながら、実際にはそうならなかった。時を経て2020年以降のライブコマースは、コロナ禍における「リアル接客の代替策」として注目を集めました。
これからは、リアルとデジタルの“良いとこ取り”をした第3の場所として活用する視点が不可欠。ライブコマースを1つのチャネルとして設計することが、2022年以降のポイントだと思います。
小林:そうですね。単発の配信で費用対効果を出そうとするのではなく、LTVの観点でライブコマースを設計・評価すべきだと思います。上手く活用しているクライアントは軒並みLTVを意識して取り組み、成果につなげています。
加えて、コロナで変化した生活の常識に寄り添っていけるかどうかもポイントだと考えています。ある調査によると、自身のオフタイムにおける1時間に対し、リモートワーク「有」の生活者が「無」の生活者の2 倍以上の価値を感じていることがわかっています(出典:ジェイアール東日本企画『EKISUMER』VOL.48)。生活者の時間の使い方が多様化し、可処分時間の価値が高まる今、短時間でも深く刺さるコンテンツが求められるのではないでしょうか。
武者:DXが進む生活者の暮らしの中には、ライブコマースという接点が入り込む余地もあるはずなのです。そう考えると、これからのライブコマースはもっと面白くなると思います。
ライブコマースの事例を徹底分析!
本記事に登場した武者氏と小林氏は、2022年8月23日(火)の「年間700超のライブコマース配信事例を徹底分析!~ライブコマース成功のルールとは?~ウェビナー」に登壇します。「ライブコマースの設計方法」「目標とすべきKPI」「本当に最適なプラットフォーム」について、具体的な事例を基にディスカッション。ライブコマースを実施しているものの成果に繋がらずお悩みの方や、ライブコマースの配信設計に課題をお持ちの方は、ぜひご参加ください。