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ヒットの裏にマーケあり

15年で5万人増!流山市が前例のない市政のマーケティングで住民誘致を成功させた理由


 数々のヒット作の裏側には、どのようなマーケティングが潜んでいるのか――。デジタルマーケティングのコンサルティングでこれまで1,500社を超える企業を支援してきたナイル。その代表で起業家の高橋飛翔が、各界の著名人と対談を行い、ヒットの裏に隠されたマーケティングを深掘りしていく連載企画。今回のゲストは流山市 総合政策部 マーケティング課 課長の河尻和佳子さん。30代の共働き子育て世帯をターゲットとした住民誘致により、15年で5万人以上の人口増加を実現させた秘策について伺いました。

毎年5,000名ペースで人口が増加する流山市

高橋 飛翔(以下、高橋):流山市は日本初の「自治体のマーケティング課」という話題性もさることながら、2014年から8年連続で人口増加数がトップ10にランクインしているなど、長い期間にわたって結果も生み出していますね。実際にどれくらい人口は増えているのでしょうか?

河尻 和佳子さん(以下、河尻):よろしくお願いします。流山市の人口はつくばエクスプレスが開業した2005年以降の増加が大きく、現在20万6,000人ほどになります。特にこの5年ほどでの増加は目覚ましく、毎年5,000人増くらいのペースとなっています。近年は新型コロナの影響もあるのか、大規模開発が一服した後でも増えていると感じますね。

河尻和佳子(かわじり・わかこ)

 流山市 総合政策部 マーケティング課 課長。流山市の町をプロモーションする公募で採用され、民間企業を退職。メディアプロモーション広報官を経て課長に。前職で培ったマーケティングのノウハウと、自身も流山市の魅力に惹かれて移住してきた住民としての目線を活かしたマーケティング施策で、年間で5,000人以上の住民誘致を成功に導く。

高橋:コロナ禍でも移住者が増えているのですか?

河尻:新型コロナの流行を機にリモートワークが推奨されたことで、都内よりも広い居住空間を求めて移住を希望される方は増えていますね。

 もちろん、地道なPRの効果もあります。移住を本格的に検討する中で、もし新型コロナの影響が落ち着いた後に出社が必要になっても通える距離で、都心より安く広い家を持てる上に近所を散歩するだけでも緑が豊かでリフレッシュできる場所として、流山市を選んでくださる方が多くいらっしゃいます。

マーケティング課が必要だった理由

高橋:確かに、アフターコロナがどうなるかわからないだけに、あまり遠くまで行けないというのはありますね。とはいえ、立地的な条件だけで見れば候補はたくさんありそうに思えますが、流山市が選ばれるというところにマーケティング課の施策が効いているのかなと感じます。

 中でも「流山グリーンチェーン戦略」は、地域の環境や価値、景観、住宅保持者の負担など、あらゆる面でよく考えられていて、「都心から一番近い森のまち」というコンセプトも一気通貫されていて、すごい施策だなと思いました。

 この「流山グリーンチェーン戦略」並びにマーケティング課を立ち上げたのは井崎市長でしたね。

河尻:はい。市長は以前、海外で複数の都市計画事業に携わっていたらしく、世界各国の人気の町を自分の目で見ています。つくばエクスプレス開業にともなう土地区画整理事業が始まったときに、日本の人口は減少に転じていました。

 流山市では今後75歳以上の方が増えていく中で、このままだと土地が売れ残って市の財政を圧迫する懸念があったことから、緑豊かな町づくりや住民誘致の方法を取り入れようと。そのためにはマーケティングの視点が必要だと市長は思ったそうです。

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この記事の著者

高橋 飛翔(タカハシ ヒショウ)

 1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイルを創業。 ナイルにて、累計1,500社以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足し「ナイルのマーケティング相談室」「ナイルのコンテンツ相談室」などを運営。2018年より新規事業として月10,000円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/07/27 15:56 https://markezine.jp/article/detail/39493

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