キャンペーン応募者との継続的なつながりが持てるように
MZ:電通デジタルと電通九州の支援を受け、Salesforceのプラットフォームを複数導入されたとのことですが、既に手応えは感じられていますか。
大久保(霧島酒造):プラットフォームの運用体制は今後も引き続き整備していく必要はありますが、社内の変化は既に強く感じています。というのも、過去に大型キャンペーンを実施しても、応募いただいた方との接点はその1回限りで、継続的なつながりは持てていませんでした。「〇〇のキャンペーンに応募した人」という情報しか把握できていなかったのです。そこからMAを導入し、LINEやメルマガと連携して継続的なコミュニケーションを実現。今ではLINEやSNS、メールマガジンなど、各デジタルチャネルを活用した小規模なキャンペーンを年に複数回行うようにしています。
大久保(霧島酒造):今後は「複数回キャンペーンに応募してくれた人(=ロイヤルティが高い人)」に絞ってアンケート調査を実施したり、誕生日の方にはプレゼントを贈ったりするなどして、ファンの皆様とのつながりをより強固なものにしていきたいと思います。
MZ:DXを推進した先にどのような世界を実現したいのか、霧島酒造の展望をお話しいただけますか。
大久保(霧島酒造):DXは、あくまでも成長のための一手段だと捉えています。「DXに取り組んでいるから大丈夫」と思わず、手段が目的とならないよう社内で頻繁に認識をすり合わせています。
当社社長は「デジタル化を推進することで、より温かいリアルな場での価値を高められる」と話しています。たとえば居酒屋などの飲食店で、店員さんにお勧めされて焼酎を選んだり、偶然隣に座った人から紹介された焼酎を飲んでみたり。私たちが直接関われない場所でも、お客様同士のコミュニケーションはたくさん生まれています。
我々はデジタルを活用し、お客様が欲しい情報を適切なタイミングで届けることで、焼酎を飲む時間をより楽しくしたり、アプリケーションを開発することで、霧島酒造のファン同士がつながれる空間を作ったりしたいと考えています。その第一歩として、まずはお客様一人ひとりをさらに理解するべく、CDPを活用して顧客情報の統合を進めていきます。
マスを含めたコミュニケーションからCRM施策まで支援
MZ:霧島酒造の展望を受け、電通九州、電通デジタルの両社はどのようなサポートを行っていきたいとお考えですか。
久保田(電通九州):電通グループは、中期ビジョンとして「Integrated Growth Partner(IGP)」を標榜しています。これまでの「電通=広告会社」というイメージからの脱却を図り、広告やマーケティングを超えたより広い領域から顧客企業の成長をサポートしていくことを目指す意思表明です。この考えのもと、霧島酒造様には引き続き様々な方面からご支援・ご提案ができればと思います。
矢内(電通デジタル):現在はCDPなどプラットフォームの導入に支援が集中していますが、当社はSIerではなくコミュニケーションを生み出す組織です。プラットフォームの導入はあくまでスタート。今後、電通九州の強みであるマスメディアを含めたコミュニケーションから、電通デジタルが得意とするCRM領域まで一気通貫で支援し、新たな顧客体験の創造を支援していきたいと思います。