LINE上の“一等地”に動画広告を配信できる魅力
MZ:ネスレ日本様は電通デジタル様協力のもと、2021年12月からLINEが提供する「Talk Head View Custom(以下、THVC)」を活用したと伺いました。THVCの概要や既存サービスである「LINE広告」や「Talk Head View(以下、THV)」との違いについてお教えください。
成田:LINE広告は、LINEアプリ内のトークリストやLINE NEWS、 LINE VOOMの他、LINEの各種ファミリーサービスに広告が配信できるサービスです。9,300万人にリーチができることが大きな強みで、運用型広告のため予算に合わせて少額から運用することができます。
成田:また、THVCのリリース前から販売していたTHVはトークリスト一覧の最上部に位置するトークリスト面に動画広告や静止画広告が配信できる予約型広告です。LINE広告では静止画のみトークリストに配信ができますが、THVは静止画をタップすると、配信枠が拡張して動画を再生することができます。
トークリストは、1日あたり6,500万人(2022年4月実績を参考)にリーチできる、いわばLINE上で最もアクティブ率の高い“一等地”と言うべき配信面です。トークリストに動画広告を配信できるTHVはブランディングなどの観点から大きなメリットである反面、価格帯がグロス価格1,000万円から実施可能であったり、配信期間設定が1日であったりと、出稿ハードルの高いメニューでもありました。
一方、THVCは運用型広告のため、配信期間、細かなターゲティング、フリークエンシー上限の回数などを自由に設定することができます。ネット価格50万円からと比較的、出稿を検討いただきやすい価格帯であり、LINE広告とTHVの良い部分を掛け合わせたサービスです。
MZ:THVCを活用した背景についてお教えください。
森嶋:ブランディングに有効な動画広告を運用し、認知拡大はもちろん、その先の新規獲得に結び付けたいと考えていました。しかし、成田さんに説明いただいたようにTHVは予約型かつ予算規模が大きい、という点が当社にとっても活用のハードルとなっていました。
また、当社商材の場合、キャットオーナー様へのターゲティングができないと、その時点でROIが合わなくなってしまいます。THVCの導入を決めた2021年12月時点ではLINE広告でもまだキャットオーナー様に特化したターゲティング機能がなく、獲得効率の観点からハードルを感じていました。
山田:そうしたご要望をネスレ日本様にいただき、提案したのがTHVCでした。細かなターゲティング設定、すなわち配信の上で考慮すべきキャットオーナー様と思しきユーザーへのターゲティングを実現しつつ、トークリストに動画広告を配信したいという要望に同時に応えられるという点で、THVCが最適な広告メニューだと考えました。
LINEのサービスを横断したデータ活用による柔軟なターゲティング
MZ:ネスレ日本様ではTHVCを活用してどのような取り組みを行っていますか?
森嶋:THVCで認知拡大を目的とした動画を配信し、動画をタップすると「ピュリナ ワン」のLINE公式アカウントの友だち追加画面へ遷移するようにしました。その後トーク画面内のメッセージあるいはリッチメニューからサンプルの申し込みができるようにしています。
森嶋:また、THVCの動画を視聴したユーザーやLINE公式アカウントの友だちに類似した属性のユーザーにも再度THVCで静止画広告を配信(リターゲティング)し、LINE公式アカウントの友だち追加を促しました。静止画広告を配信する際のターゲティングは細かくセグメントを分けて設定し、その後の友だち追加やサンプル申し込みなどのコンバージョン数を検証しています。
MZ:動画からサンプル申し込みページへ直接遷移させるのではなく、LINE公式アカウントを経由するステップにしたのはなぜですか?
森嶋:LINE公式アカウントの友だち追加がお客様のロイヤルティの向上につながるからです。当社の場合、LINE公式アカウントのリッチメニューにおいて製品診断コンテンツやネイティブアプリをご用意しています。また、LINE公式アカウントの友だち属性や、配信したメッセージの開封・クリックデータをTHVCの配信に活用でき、友だちとなったお客様と継続的にコミュニケーションを取ることで、長期的に良い関係を築くことができます。
MZ:今回の施策にあたってどのようなKPIを設定しましたか?
森嶋:ブランディング広告においてはブランドのリフト値とリーチ効率ですね。リフト値では、広告接触者と非接触者を比較した場合の、名称認知、特徴認知、好意度、購入意向の4項目を見ています。ダイレクトレスポンス広告においては、サンプルの申し込み数とCPA(顧客獲得単価)を設定しています。
MZ:配信効果を高めるためにどのような工夫をしましたか?
山田:キャットオーナー様に広告を届けつつリーチを最大化することが最重要課題であるため、ターゲティングの内容を重視して広告配信の対象をしっかりと定義付け、セグメント配信ごとの効果効率の検証を行いました。
THVCではまず、「LINE公式アカウントの友だちに類似した属性の方」に動画広告を配信しました。配信内容に関しては、動画を視聴するユーザーは商品認知や理解が浅い潜在層であることを想定し、いきなりサンプルの申し込みを促す広告は難しいと考えました。
そのため、キャットオーナー様の興味関心に寄り添う内容、たとえば「猫の健康に必要な水分は意外に多い」といった気づきを与えてアテンションを取り、「ピュリナ ワン」が啓発するドライフードとウェットフードを組み合わせた食事スタイル「ミックスフィーディング」による自然な水分摂取が、愛猫の健康を維持する、というストーリー展開の動画を配信しました。
山田:また、それらの動画を視聴したユーザーを対象に、THVCで再度静止画広告を配信(リターゲティング)し、サンプル申し込みを促す直接的な訴求を行いました。配信セグメントとしては、「動画を3秒以上視聴した方」「動画を視聴完了した方」のほか、「過去に“ピュリナ ワン”のLPを訪問した方」、「サンプル申し込み者を種とした似た属性の方(類似配信)」などにも配信し、効果に違いがあるか検証しました。
こうした設計でも「サンプル申し込み者を種とした似た属性の方(類似配信)」への配信にLINE公式アカウントの併用が生きています。過去に無料サンプルを申し込んだ方は直接の配信対象から除外しつつ、その申し込み者のデータを基に類似配信をして獲得を拡げる、といった柔軟なターゲティングができました。
今回実施した施策を通じて、ユーザーのコミュニケーション深度に合わせて広告を届けられる点、ブランディング施策に触れた=将来の顧客になり得るユーザーに対して、ダイレクト施策につなげられる点など、フルファネルのマーケティング支援でTHVCの有用性を実感しました。